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奥野菱湖中国黄楊赤柾盛り上げ駒
第317作(田中亮氏所蔵)


別カット

「玉将・歩」のアップ。繊細な表現ではないのが、「奥野菱湖」の持ち味。
 いつも作っている「巻菱湖」とは趣がかなり異なっているのが、この「奥野菱湖」である。もともとは「菱湖」(▼別項参照)という同書体なのだが、本家とする作者の違いで表現もガラリと変わってくる。通常、私(酔棋)が作る「巻菱湖(菱湖)」は宮松影水作(▼別項参照)が源流だが、「奥野菱湖」は奥野一香作(▼別項参照)が源流なのである。そこで「奥野菱湖」と、通称言っているのである。
 「奥野菱湖」は華麗な筆致の「巻菱湖」と比べると、繊細優雅というよりもややぽってりとして力強い柔らかさを感じさせる。逆にいえば、「巻菱湖」にない奥野流の独特の魅力を備えているといっても過言はないだろう。そのような見た目の違いだけでなく、まさに奥野流らしくこの書体においても双玉仕立て(写真参照)なのである。調べてみたら、私としては「奥野菱湖(第91作)」(1991年制作)以来だから、20年ぶりくらいに作った2作目となる。
 もちろん、今回この書体を依頼者に指定されて作ったわけだが、あらためて字母紙も作り直して駒に仕上げてみると、「奥野菱湖」独特の魅力を再認識したというわけである。中国黄楊赤柾という駒木地も、依頼者の持ち込みであるが、完成してみるとぴったりとマッチしているような気がしてくる。
 ちなみに、同じく「作品ライブラリー・巻菱湖(第316作)」(▼別項参照)も中国黄楊赤柾であるので、それぞれの異なった「菱湖」を見比べていただきたい。駒マニアのこだわりが、このような微妙な書体選びにも表れていることは、みなさんにとっても興味深いのではないだろうか。

 

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