当日は、まさに梅雨の最中でしたが、「日本将棋連盟」の「飛燕」「銀沙」の部屋は、素晴らしい駒(会友作品)たちが舞って熱戦に包まれました。使われた駒は、多くの会友の作品をはじめ、なかには影水作の「清安」や静山作の「水無瀬」といった高級駒も含まれています。 ※このページでは「将棋大会」の模様のみです。賞品や賞品授与、指導将棋、懇親会などは、上から別のページ「将棋大会その他」に移動してください。 |
■開催日時 ■将棋大会会場 ■参加人数16人、予選は抽選組み合わせ対局で、その結果A級(8人)、B級(8人)のトーナメントに振り分け ■大会委員 ■大会賞品(賞品は、会友・北田、増山、蜂須賀提供)など ■櫛田陽一六段、観戦記者の木屋太二さん指導対局 |
会長・北田さんの挨拶と弟子のスティーブ紹介。 | 大会委員長・三上さんの対局開始前の説明。 |
まずは、「将棋駒研究会」会長・北田義之さんの大会挨拶からスタートです。当日は、「将棋大会」に参加する方だけでなく、「駒研」の例会もかねています。いつも例会を行っている「目黒区民センター」が「将棋連盟」に出張してきた形になります。今回の将棋大会に参加する方だけでなく、例会のみ参加、または将棋大会の応援の方も少なからずいらっしゃいました。
なかでも遠く海外のグアムからいらしたスティーブ(台北出身)さんは、北田さんの弟子でもあります。初めてお会いするみなさんとも、英語と片言の日本語を交え、駒談議に花を咲かせていました。また、大阪や奈良からいらした会友も、将棋大会に参加しました。大会委員長・三上勉さんは、将棋大会の手合いづけや運営に忙しく動き回り、駒収集家でもある友人の橋浦洋一さんに手伝ってもらいました。また、委員でもある私(増山)自身が今回参加することにしましたので、ここに掲載した写真を会友の池田登志男さんに頼みました。この将棋大会が滞りなく進めることができた背景には、協力していただいた影の人たちがいたことをとどめておきたいものです。実に感謝です。
抽選組み合わせが委員によって行われ、いよいよ定刻の午後1時より、予選から対局が始まりました。
将棋連盟の掲示板。 | 委員は下準備。 | 予選対局が始まります。 |
この大会に私(増山)も出場していたので、その視点で追っていくことにします。まずは、抽選組み合わせによる予選の括目とされる対戦を見ていきます。優勝候補と目された吉澤六段は大阪からの使者、藤井四段を飛車落ちで降し、順調にA級トーナメントに進みます。もう一人の優勝候補、中村五段は駒落ち相手に惜敗し、B級トーナメントに回ります。私は上村四段戦で、詰みのあった局面を二歩で負けB級に回ります。
B級トーナメント屈指の好カード藤井四段VS中村五段戦は、藤井さんが実力を発揮し、吉澤さんが駒研に入る前には最強といわれた中村さんを降しました。この日は中村さんは不調だったみたいです。1回戦で森内初段を飛車落ちの「金開き」でごまかし、私は2回戦へ。2回戦で強豪の藤井さんと対戦。序盤は私が少しいいと思っていると、そこから必敗の局面になるも、最後は時間に追われた藤井さんが悪手を指し、結局私が勝ちを拾い決勝戦へ。奈良から来た、村田三段は、1回戦で紅一点の高橋初段をからくも破り、石井(国蔵)三段も降し、決勝へ進みました。
A級のトーナメントでは、吉澤六段が1回戦で清水初段を二枚落ちで、2回戦で稲垣四段と飛車落ち戦を何とか制し、決勝に進みます。もう片方の山では、駒作りを始めたばかりの石井(敏文)四段が、1回戦で樋村四段、2回戦で遠藤初段を降し、決勝戦へ。
抽選組み合わせの予選対局。 | B級トーナメント1回戦。 |
A級トーナメント1回戦。 | 対局が進むと手合い係も忙しい。 |
影水作の「清安」での対局。 | B級屈指の好カード(藤井VS中村)。 |
トーナメント表・対戦結果!
A級トーナメント表、対戦結果! | B級トーナメント表、対戦結果! |
3位決定戦
A級3位決定戦。 稲垣四段(右)VS遠藤初段(左)。 |
B級3位決定戦。 石井三段(右)VS藤井四段(左。 |
「A級の3位決定戦」は、稲垣四段VS遠藤初段の飛車落ち戦。稲垣さんは、指し将棋もよくしますが、駒収集家として「駒研」に参加しています。この対局での使用駒は、影水作の「清安」です。この駒は私がかつて修復したもので、「駒関連資料館・26 清安書島黄楊杢盛り上げ駒・影水作」(▼別項参照)に掲載しています。
遠藤さんは、「号・秀篁」という駒師名でおもに彫り駒を作っています。また、「酔棋書き駒教室」(▼別項参照)の第1期の生徒さんでもありました。飛車落ちの利を生かして、下手の遠藤初段が勝ち、3位となりました。
「B級の3位決定戦」は、石井(国蔵)三段VS藤井四段戦。大阪からこの大会に出場するためにいらした藤井さんは、かつて「『駒の詩』将棋大会」(▼別項参照)で2回準優勝している強豪です。抽選組み合わせ対局では、吉澤六段に敗れ、B級トーナメントでは中村五段を降しています。この対局を制し、B級3位となりました。前は彫り駒を作っていましたが、最近では漆塗りの器などを作っています。
対戦相手となった石井三段は、「号・國蔵」という駒師名でおもに彫り駒を作っています。この二人の対戦で使われた駒は、私がいつも使っている「龍山安清島黄楊虎杢盛り上げ駒・酔棋作(第195作)」(▼別項参照)です。石井さんは残念ながらこの対戦に敗れ、B級4位に終わりました。
優勝決定戦
A級優勝決定戦。
吉澤六段(左)VS石井四段(右)。 ▼局面拡大 |
B級優勝決定戦。
増山四段(左)VS村田三段(右)。 ▼局面拡大(左・村田、右・増山です) |
A級・B級両決勝戦とも、優勝賞品となった「A級・宗歩好」「B級・芳仙」の2つの駒が、実際に決勝戦に使われました(上記拡大写真参照、また次ページに詳細あり)。
「A級優勝決定戦」は、吉澤六段VS石井(敏文)四段の飛車落ち戦。手合いはかなりきついはずですが、下馬評どおり吉澤さんが決勝に登場です。結局、上手・吉澤さんがこの飛車落ちの難局も99手で制し、A級優勝となりました。これで実際に対局に使った「宗歩好」は、名実ともに吉澤さんの駒となりました。
惜しくも敗れた石井さんは、駒作りを始めてまだ間もないです。2位の賞品となった「島黄楊杢」は、いずれは石井さんがいい駒を作るのではないでしょうか。
「B級優勝決定戦」は、村田三段VS増山四段の平手戦。先手の村田三段は、奈良からの参加です。かなりの駒好きで、それも静山作の「水無瀬」にかなり魅かれています。かつて私も、村田さんに「水無瀬書島黄楊斑入り柾書き駒・酔棋作(第338作)」(▼別項参照)を頼まれて作っています。
決勝戦の対局は、相矢倉戦となりました。序盤から、私がやや有利に進めてそのままいくかと思いきや、いつものとおり終盤で怪しくなるも、144手もかかり何とか勝ち切りました。そこでB級優勝は私ということで、蜂須賀作の「芳仙」を獲得できるのですが、私が駒をもらうわけにもいかず、2位の村田さんの賞品「島黄楊斑入り糸柾」の駒木地と交換したのです。詳細は、次ページをご覧ください。
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