- 酔棋

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清安書島黄楊杢盛り上げ駒・影水作
酔棋修復
(稲垣忠之氏所蔵)


別カット

修復前の「玉・王」。 修復前の「龍王」。
駒木地も磨き直して盛り上げ修復。 不足の「歩」3枚新たに作る。

 ここで紹介するのは、駒マニア垂涎の的とされる影水作の「清安」である。ただしこの駒は、いろいろな観点から間違いなく宮松影水(▼別項参照)の工房の作品にはちがいないのだが、いくつか通常の影水作とは異なるところが見られる。そこで、この「駒関連資料館」に掲載することにしたものである。
 その一つとしては、「清安」(「書体への誘い4・源兵衛清安」▼別項参照)という書体についてである。 この上写真の書体は、「清安」ではなく金井静山(▼別項参照)が作っている「源兵衛清安」(▼写真参照)とまったく同じなのである。通常、影水の作る「清安」はこのような「清安」(酔棋作だが、▼写真参照)を指すのだ。つまり、通常影水は「源兵衛清安」を作らずに、その代わりに先の私が作ったような「清安」なのだ。
 そのあたりから類推すると、駒銘(実際の駒銘は彫りであったが、酔棋が盛り上げにした)はたしかに影水作なのだが、駒そのものは静山が作ったと考えられるのだ。二人の名工ともに下町の一角に住んでいたから、それなりに交流があったと思われるのである。
 修復前の「玉将・王将」や2枚の「龍王」(上写真参照)をご覧いただければ、彫り埋めとなり駒字が判別しにくく将棋を指すことも難しいことがおわかりいただけるはずだ。このような状態では、せっかくの名工の作の駒も、少しかわいそうな気がするのだ。今回の影水作も含めて、「名工の轍」(▼別項参照)で紹介している駒師の作品が古くなり漆が飛んだりしたものを、これまでにいくつか修復したことがある。削り直して新たに盛り上げをし直したりするとき、かつての名工たちに出会うのは、それなりに駒師として楽しみも生じてくるのだ。
 ちなみにこの駒は、「歩」が17枚しかなく2枚の余り駒を加えると3枚不足となっていた。そこで、3枚を新たに作ったのが上写真の「歩」だ。今後は、所蔵者はこの駒をなるべく指し将棋で使うとのことであった。下地の駒木地は年を重ねていい味わいになっているが、これから所蔵者が新たに使っていけばさらに味わい深くなることだろう。

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駒の詩