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源兵衛清安島黄楊柾目書き駒
第327作(平沢拓氏所蔵)


別カット

ミニ将棋会

 2011年5月14日、拙宅(増山宅)にて「サンマーク将棋会」が開催された。高段者(四段)3人と初心者3人による異例の将棋会である。それぞれがリーグ戦を行い、余った高段者と初心者が、駒落ち(六枚落ちか四枚落ち)で戦うというちょっと変則的なもの。
 サンマーク出版は、私(酔棋)の本職(書籍編集・校閲)をさせていただいている会社。そこの社長・植木宣隆さんが棋力四段で、かなりの将棋好き。以前、「駒の詩・第2回将棋大会」(▼別項参照)にも参加していただいたり、古くは制作駒100組を記念して、1991年11月に行った私の第1回個展「棋は鼎談なり―酔棋将棋駒展―」(別項酔棋制作駒『第2回個展』―使われてこそ名駒―」の最下段に掲載)でアンケートの賞品抽選に当たって、駒を作って差し上げたこともある。ちなみにその駒は「鵞堂書柾目盛り上げ駒(第104作)」(「書体への誘い・鵞堂」▼別項参照)で、今回持参していただきその駒で植木さんは指された。仕事も含めて20年以上のおつきあいになるわけだから、私とは何かとご縁が深い方でもある。
 そのサンマーク出版の若い社員のみなさんは、ルールは知っていても今風な若い人々と同様に、オジサンくさい(?)将棋はこれまで指す機会もあまりなかったと思われる。そこで、私が今回の「ミニ将棋会」をあえて企画し、みなさんにはかって実現したというわけだ。ここのところ東日本大震災や福島原発事故をはじめ、世の中は何かと不安がつきまとう。そんなときこそ、将棋を指しながらしばし読みにふける時間をもつのも、ときには大切なことのような気がしたのである。

ここに写っている6人による「将棋会」(拙宅にて)。

それぞれの対局光景

植木VS三上戦の高段者対決、力が入る。 左の対局の中盤の難所。手前が三上陣。 扇子片手にワッハハ。社長を喜ばしたのは誰だ!
小野VS増山の六枚落ち戦。上手の辛勝。 綿谷VS植木の四枚落ち戦。社長の貫禄勝ち。 小野VS平沢戦、この対局を制した者が駒を。
  「サンマーク将棋会」に参加したみなさんは、高段者は植木さん、三上勉さん(私の古い棋友で銘駒収集家「あの駒は今・5.誌上対局での勝利の陰に ▼別項参照」)、増山雅人(酔棋)、初心者のサンマーク若手社員は、綿谷翔さん、平沢拓さん、小野佑仁さん。それに観戦で参加したはずなのにお茶入れや写真撮影といろいろと忙しかった、同じく社員で紅一点の池田るり子さんである。一同を代表して、お世話になりました!
 ちなみに綿谷さんは、「酔棋制作駒『第3回個展』―駒の後ろに作者が見える―」(▼別項参照)で、会場の駒プレゼントに当選している「酔棋制作駒プレゼント抽選・第6回(▼別項参照) 。その駒「水無瀬書柾目書き駒」(第309作)も持参していただき、今回の対局で使った。
 この将棋会にも、私は賞品として上記の「源兵衛清安書き駒」(第327作)を用意した。参加者のうち、私の駒を持っていない2人(平沢、小野)がその有資格者ということにして、その2人の対局が事実上の駒獲得戦となったのである。後述をご覧いただければおわかりのように、若手のリーグ戦で2勝した平沢さんが賞品の駒を手にすることとなった。
 この書体そのものの由来は、「書体への誘い・源兵衛清安」(▼別項参照)をご覧いただきたい。実際の駒はやや小ぶりで縦長の作りだ。「源兵衛清安」は時代を経た趣のある駒字だからか、不思議なことにどのような駒木地でもそれ相応に似合う感じがする。

賞品授与

思わずにっこりと賞品の駒を受け取る平沢さん(左)。 この真剣な顔が勝利をつかんだ!

駒を手にした平沢さんの喜びのコメント

 このたびは増山(酔棋)さんが素晴らしい場を企画してくださり、 数年ぶりに駒に触れる機会に恵まれました。 小学生のときこそ夢中になって盤にかじりついていたこともありましたが、 クラブ活動でもないかぎりなかなか同世代でゆっくりと対局につきあってくれる人がおらず、 いつの間にか縁遠くなっていました。
 もちろん経験を語るにはほど遠い腕前ですが、 ほんの数時間でも混じりっけなしの「将棋」のひとときを過ごせたことで、 あのころの純粋な思いがよみがえってくる心持ちがしました。 そうした貴重な機会に加え、 今回増山さん手作りの貴重な駒を獲得できたことは僕にとって何にも代えがたいありがたい出来事です。 心から感謝申し上げます。
 かつてマグネット式や、「と」の文字が崩れすぎて「、」になったような 安物駒しか触ったことのない僕からすると この美しい駒を触るのさえ畏れ多い気もしますが、 そこは「使われてこそ名駒」、増山さんの哲学をしっかりと受け継いで、 これを機にもう一度将棋への気持ちを掘り起こしたいと思います。

綿谷さん(右)には扇子。 小野(左)さんには初心者本。

  対局慣れしたオジサンたちには賞品はナシで、若手のみなさんに駒をはじめとして扇子や書籍を賞品とした。偶然なのだが、綿谷さんはラップの音楽が好きとのことで、「韻」と揮毫された扇子を手にして満足気だった。今回勝利の女神には恵まれまなかったが、将棋のおもしろさと奥深さに少しはふれていただき、興味をもってもらえた小野さんには、私がかつて編集した漫画で覚える初心者本などを差し上げた。

対局で疲れた頭は懇親会で休めよう!

対局がすんでの懇親会で、まずはみんなで乾杯! 左が紅一点の池田さん。

  参加していただいたみなさん、ほんとうにお疲れさまでした!

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駒の詩