この駒の彫り埋めのときの状態。盛り上げには色漆(表青・裏赤)を使っても、彫り埋めまでは通常のサビ漆(生漆+呂色漆+との粉)の色合いである。 |
島桑の駒木地に、表字が青、裏字が赤という、見るからに一風変わった駒の仕上がりだ。当然なことに、これは依頼者のお好みでこのような作りになったわけだが、これも駒のひとつの楽しみといえるかもしれない。
ちなみに島桑は、通常は駒箱の素材であり、駒木地となることはあまりない。ただ別項「駒関連資料館・錦旗書(龍山作)」にも、島桑で作られた盛り上げ駒を紹介しているのでご覧いただきたい。
島桑は黄楊と比べるとかなり軽いのと、多孔質がゆえにやや表面の穴が目立つので、サビ漆で全体を埋めて(上写真参照)から、拭き漆を施し表面を整えてから、色漆で盛り上げたのである。
このような仕上げは、同ライブラリーに掲載している「錦旗黒檀(第217作)」「錦旗花梨(第242作)」「無劍紫檀(第245作)」の書き駒と同じ方法である。ただし、青の色漆で作ったのは、私も初めてであった。