この駒で会長と飛車落ちの記念対局。 |
かなり珍しい「紅紫檀」の駒で、私も初めての制作だ。この駒を差し上げた「将棋駒研究会」の会長・北田義之さんが、作った駒木地である。
不要になった紫檀・紅紫檀製のテーブルを壊して、北田さんが駒木地にしたものだという。紫檀の駒木地も私がいただいたので、「無劍(第245作)」で同じく書き駒として制作している。
この紅紫檀にしても、黒檀や紫檀といった材質は、多孔質なのであまり彫るのには向かないのだ。つまり彫り跡が黄楊みたいにきれいにならず、少しグズグズしてしまうのである。そこで書き駒にしたというわけである。
その多孔質の欠点を補うために、かなり面倒だが、それなりの工夫が必要だ。まずは彫り埋め駒みたいにサビ漆で、表面の穴を埋める。左の「金将」の裏を見れば、穴に漆が埋まっているのがわかってもらえることだろう。さらに、拭き漆を数回施す。その後磨き上げ、やっと書き駒に仕上げるのである。
また、通常の呂色漆では目立たないので、駒木地の色に合わせて、色漆を使った。ちなみに若草色にしたのは、北田氏のお好みであったが、やや駒字が浮いた感じになってしまった。
この駒での記念対局(上写真)は、やはり北田さんと私(酔棋)の一局となった。「将棋駒研究会」の例会のとき、私が上手の飛車落ちで、結果は私の辛勝に終わった。
「駒を差し上げた人に勝たせなくてはいけない」と会長は言うが、「勝負は厳しいものだからね(笑い)」と手を抜かなかった。