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安清(花押)象牙書き駒・酔棋修復
(華俊所蔵)


別カット


「書き駒」用の文字転写の工程。 完成した「書き駒」。
左の「源兵衛清安」と比べると、ほぼ7割の大きさの雛駒である。 新たに作った象牙製の根付。表(左)は今回のテーマ、裏(右)は定番の言葉。

 

1寸の榧盤に並べると、ちょうどいい大きさ。
島桑の駒箱と金襴の布。

 ここで紹介する象牙製の書き駒「安清(花押)」は、同じ「駒関連資料館 16安清(花押)象牙書き駒」(▼別項参照)に掲載していたものを、私(酔棋)が完全に作り直した駒である。なぜ、この駒が私の手元に来たのかは、そちらを読んでいただきたい。おそらく江戸期末期の幕末のころに作られたものだとすると、少なくとも100年以上はたっているはずだ。
 前から直さなければと思っていたのだが、それを今回の私の個展「たかが駒、されど駒」(▼別項参照)を期に、思い切ってやってみたのである。 「温故知新」つまり「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る」で、昔日の「書き駒」を自らの手で甦らせてみたわけである。ただ、作り直したのではなく、字母紙から作り直しすべて新たに「書き駒」にした。古い象牙は色合いもやや黄色み帯び、なかには模様すら見られるものもある。これも歳月がもたらした、えもいわれぬ味わいかもしれない。
 作り直して駒が甦ったら、もともと入っていた駒箱(ボロボロの桐箱)も換えたくなり、ついでに専用の盤も欲しくなった。そこで、私が懇意にしている「前沢碁盤店」のご主人に頼んで盤と駒箱を探してもらったのである。ちょうど雛駒用の作り置いた1寸の榧盤があったのでそれに決め、またご主人がかなり前に自ら作った拭き漆を何度も施した小さな島桑製の駒箱もあった。実際にこの象牙の「安清」を入れてみたら、ぴったりと収まった。そこでこれ幸いと、専用の盤(駒台込み)と駒箱(左写真参照)を購入しそろえたのである。
 古くは駒袋というものもなくて、布にすっぽりと包んで駒箱に収めたともいわれている。ご主人が金襴の駒を包む布も用意してくれたので、通常の駒袋ではなく古来にならって、それで駒箱に収めた。
 上写真の象牙製の根付は、個展の記念とともにこの「安清」ために今回わざわざ作った。つまり、ここで紹介する「安清(花押)象牙書き駒」は、専用の盤、駒箱、根付、全部一式そろえて初めて1組の駒というわけである。実際にこの駒で将棋を指したことはまだないが、記念となるので手元に置いておこうと考えている。もちろん今回の個展にも、みなさんに見ていただけるよう一式そろえて展示するつもりだ。

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駒の詩