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英朋書紫檀拭き漆仕上げ書き駒
第397作(石井良明氏
所蔵)


別カット

紫檀の駒木地。 磨いて駒字を転写した。 完成した書き駒。

 この「英朋」の素材となった紫檀の駒木地は、依頼者の持ち込みだ。この方はこれまでにもこの駒木地と同じように、ネットを通じて手に入れているようである。つまり、駒が完成するたびに別な駒木地を置いて、新たな書体を依頼していくのだ。それも通常の書体よりも、どちらかというと隷書や篆書を主とするものが多い。「英朋」は表が隷書、裏が篆書となっている。書体そのものの由来などは、「書体への誘い・英朋」(▼別項参照)をご覧いただきたい。駒の書体や材質の楽しみ方も、まさに人それぞれであろう。
 すぐ上の写真を見ればおわかりのように、紫檀の駒木地はそのままでは書き駒にはできない。というのは、緻密質の黄楊とは異なって、紫檀は多孔質(穴が多い)なので、その穴をサビ漆で埋める作業が必要なのである。それから研ぎ出し研磨作業を終えてから、拭き漆をするのだ。具体的な作り方は、「酔棋流書き駒の作り方」(▼別項参照)をご覧いただきたい。
 ちなみに拭き漆を通常の黄楊にする駒師もいるようだが、私(酔棋)は基本的にはやらない。拭き漆をするのは、今回のような紫檀や黒檀などの駒木地の場合である。もともとが濃い色なので、必然的に漆も白色漆使うため、拭き漆をしても問題ないからである。この「英朋」の場合は、最後の仕上げの研磨をしてから、すべての面に拭き漆を2〜3回施した。その代わり、漆を盛り上げる目止めとして水性との粉を使ってはいない。つまり、拭き漆が目止めの役割を果たすからである。
 上の3枚の写真は、左から「もとの駒木地」「転写した駒木地」「完成した書き駒」となっている。紫檀のような駒木地は、通常の「書き駒」よりも、サビ漆や拭き漆を施す手間がかかるのである。これには従来どおり白色漆を使ったが、他には黄色漆でもよさそうである。書き駒の文字を転写するのに普通は弁柄漆(茶褐色)を使うが、それではあまり字が判明しないため、白色漆を使っている。
 「英朋」は、「王将・玉将」が当たり前だが、余分な駒木地があったので、依頼者のお好みでさらに「双玉仕立て」にした。駒銘写真などを見ていただきたい。このようなイージーオーダーの駒作りは、私の意図するところでもあるので、できるだけ応じるように努めている。

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駒の詩