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宗歩好薩摩黄楊縮み杢彫り埋め駒
第394作(山口 亮氏
所蔵)


別カット

薩摩黄楊縮み杢の玉将と歩の駒木地。 彫りの工程を終えた段階。

依頼者(右)と私(左)との「魂入れ」の記念対局。
先手・山口(右)、後手・増山(左)の横歩取り戦。
▲局面拡大

 依頼者の持ち込みの駒木地(薩摩黄楊縮み杢)で作ったのが、今回紹介する「宗歩好彫り埋め駒」だ。「宗歩好」は当然なことに「双玉仕立て」だが、どうしても「王将」を余分に作ってほしいということで、依頼者があとからその駒木地を手に入れて、実現したものである。
 同じ「作品ライブラリー」に掲載している「宗歩好中国黄楊虎杢盛り上げ駒(第390作)」(▼別項参照)のところでもふれているが、昨年(2015年)に作った駒の中で、「宗歩好」の書体で「書き駒(第378作)」(▼別項参照)、「彫り駒(第389作)」(▼別項参照)の3種類の製法で作ったから、これでもしも「彫り埋め駒」を頼まれたら、私の作る製法の4種のコンプリートになるみたいなことを書いた。そう思っていたら、私の作った駒で今回で3組目となる依頼者が、今回の「宗歩好彫り埋め駒」を頼んできたのである。
 依頼者の方は、先に書いた持ち込みの駒木地で、今年(2016年)の春から始まる名人戦観戦用として並べる駒が欲しいとのことであった。つまり、ここのところ毎年、名人戦第1局に使われているのが「関東の名人駒」と称される、奥野作の「宗歩好島黄楊赤柾盛り上げ駒/名工の轍・奥野一香(▼別項参照)」である。そこで、「宗歩好」を依頼してきたというわけである。
 依頼者が完成した「宗歩好」を受け取りにきたときに、おなじみの「魂入れ」の記念対局を私(酔棋)と指した(左写真参照)。山口さんの棋力をおうかがいしたところ、私と同じ四段ということであったので、振り駒での対局となった。
 左の局面(拡大する)をご覧いただいておわかりのように、横歩取りの最新形になった。この局面から先手が▲3六歩と突き、以下後手が▽8六歩と合わせていった。その後、後手の私が少し指しすぎで苦しかった思うが、終盤の勝負手が功を奏し、何とか面目を保った。
 長いこと駒を作ってはきたが、ほぼ1年間で同じ書体で4種すべての製法で作ったのは初めてであった。おもしろい経験をさせていただいたことに、駒を依頼してきたみなさんに感謝している。
 今回の依頼者が、今年の名人戦をこの駒を使って棋譜並べする様子を想像するだけで、何とも味わい深い気がしてくる。

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駒の詩