別カット
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少し輝く杢の味わいの「玉将」。 |
ちょっと風変わりな桂馬と成桂。 |
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『将棋駒の世界』(111ページ)に掲載した龍山作の「法眼董齊」。 |
現在紹介中の「将棋駒研究会展示即売会」(▼別項参照)に向けて出品するために、今回「作品ライブラリー」に同時に掲載した第322作、第323作(清龍)、第324作(羽前)は、いずれも新作である。詳細は、それぞれをご覧いただきたい。
これらの3作の書体は、私(酔棋)にとっても初めて作るものばかりであったので、字母紙から新たに起こして制作した。実際に制作するにあたって、私なりにそれぞれテーマをもって臨んでみた。
最初にここで紹介する「法眼董齊(ほうがんとうさい)」は、昔から少し気になっていた書体であったのだが、全体的にこれといった特徴が少なく、これまで作ることはなかった。それでも、この書体の特徴をあえてあげるとすれば、上記の写真の箇所(○印)のように「桂馬・成桂」が、他の書体と少し変わっているところかもしれない。
少し前に、拙著『将棋駒の世界』(▼別項参照)であらためて取材をしたときに、久しぶりに龍山作(「書体への誘い・豊島龍山」(▼別項参照)の「法眼董齊」(右写真参照)に実際にふれ、「いずれは作ってみよう」という気が起きたのである。ただし、実物のその駒は、単に小ぶりというだけではなく、字そのものが小さく感じたのである。私が作ったこの書体ほうは、駒字をもう少し大きくしたり力強さを加えてみたのだが、いかがだろか?
ちなみに「法眼」とは、広辞苑第六版によると、
「1.〔仏〕五眼の一つ。諸法を観察する智慧の眼。これによって菩薩は諸法の真相を知り衆生を済度する。2.(法眼和尚位の略)法印に次ぐ僧位。3..中世・近世、医師・画工・連歌師などに授けた位」
とあるので、いずれにしてもなかなかの意味合いを含んでいる。
「董齊」に関しては、松本董齊(1870年没)という人が由来か? 「書体への誘い・董仙」(▼別項参照)でふれているので、詳細はそちらをご覧いただきたい。結局は推測の域を出ないが、「法眼」の位に就いた「董齊」という人の書体なのかもしれない。
比較的に特徴が少ない書体には、あまり派手ではないが少し輝きをもった杢が似合うと思い、それで盛り上げ駒に仕上げてみたというわけだ。
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