将棋の町・天童(山形県天童市)に古来伝わる「天童文字草書体」が、この駒と似通っている。
通常、その「天童文字草書体」は、表が黒で裏が赤の駒、または咲き分け駒(2文字の上部1文字が赤で、下の1文字が黒/別項「草書」参照)によく作られている。
さて、この駒も独特の崩し字(草書)なことと、表が黒で裏が赤、といったようなところは先の天童の書き駒と似たところだ。
個別な駒の写真(上左)を見ればおわかりのように、「玉将」と「歩兵」の大きさが極端に異なっている。このような特徴は、別項の「竹製駒」にもあるように、古い駒にたまに見られる。また、「飛車」と「角行」の裏が、「龍王」「龍馬」でなく「馬」と「飛」となっているところ(上右写真)は、天童の書き駒とはまったく違っている。
だいたい裏の文字に「龍」でなく「飛」が使われているのは、実に不思議なことだ。