- 酔棋

駒のことなら何でもわかる!!

トップ 作り方 作品 フォト オークション 情報室 書体 名工 資料館 BOOK メール・問い合わせ

安清薩摩黄楊孔雀杢書き駒
第483
(齊藤優希氏所蔵)


別カット

「王将と2枚の玉将」のアップ。孔雀杢の模様がよくわかる。

左写真の裏。余分な1枚の「玉将」には昇段の日付(令和七年四月一日)を入れた。

左は増山(酔棋)VS右は齊藤新四段の飛車落ち戦。



 2025年5月開催の「酔棋駒友将棋大会」に出場予定の知り合いと、久しぶりに会って軽く飲んだ。そのときに、新宿ゴールデン街「一歩」(「あの駒は今・一歩」▼別項参照)が再開されていることを知らされた。その店のママが、亡くなってお別れの会が開かれたのが2年ほど前。どなたかが同じ「一歩」という名称で、今年リニューアルしたものである。
 そこで、飲んでいた3人で「一歩」に行ってみた。カウンターがおもな小さな店だが、一つのボックス席に一人の青年が棋譜を並べしていた。新しいマスターからうかがうと、そのさわやかな青年は、奨励会の齊藤優希三段と紹介された。そのとき私(酔棋)は、愛用の駒「龍山安清(第195作)」(▼別項参照)を持参していたので、ここで会ったのも何かの縁と、「この駒で一局飛車落ちで教えてくれませんか?」と齊藤氏に思わず言ってみた。「いいですよ」と快く応じてくれた。10年ぶりくらいの「一歩」での対局となり、私はいつもの巨泉流で臨み双方手詰まりとなったが、最後は斎藤氏のしのぎで、惜敗に終わった。終局後、「ここで歩の成り捨てで、上手が負けていました」と丁寧に感想戦まで行ってくれた。
 この時点で、齊藤氏は14連勝(あと4局残し)でほぼ昇段間違いなしの状況であった。さわやかな青年と楽しかった対局ができたことに、私自身も少し高揚していたのか、「もしも昇段したら、駒を一組好みの書体で作ってあげるよ」と、口に出していた。
 後日、齊藤氏は17勝1敗という新記録で奨励会を卒業し、晴れて新四段となったのだ。早速、拙宅に呼んで『酔棋字母帳』をじっくりと拝見し、悩みに悩んで選んだのが、今回の「安清」であった。この「安清」は数ある中で、影水作のものである。
 書体選びから2か月後くらいに、上記の「書き駒」が完成し、齊藤氏が受け取りに来たとき、新しい駒に将棋を教える「魂入れ」の記念対局を、同じ飛車落ちで行った。その対局の模様は、上写真をご覧いただきたい。下記の写真が、その仕掛けの局面(組まれる前に)と、投了図の局面だ。「一歩」での初対局は負けたが、拙宅での記念対局は終盤かなり難しくなったものの、少し面倒な詰みを読み切って勝たせていただいた。
 齊藤新四段の初々しい色紙を何枚かいただいたので、それは先の「将棋大会」の賞品に使わせていただくことにする。まずは感謝! この新しい「安清」が、齊藤氏のこれからの長きプロ棋士の活躍の支えに少しでも役立てば、作った私としてもこれ以上の喜びはない。新四段、新年度からの対局、頑張ってください!

上手の仕掛け、▽5五歩。 
▼局面拡大
上手の投了。▲3三馬  
▼局面拡大

※もっと大きな写真を見たい場合は、「フォトライブラリー」(▼参照)で、「作品ライブラリー・483」を探してください。

 「作品ライブラリー」トップに戻る

トップへもどる
駒の詩