阪田好島黄楊絹柾彫り駒 |
坂田好島黄楊柾目彫り駒・塩見吉浦作(日本将棋連盟所蔵) 原本となった「坂田好」の駒(『将棋駒の世界』P87掲載)。 |
「金将」の裏と駒尻。目の詰まり具合がわ かる。 |
伝説の将棋指し、阪田三吉贈名人・王将がゆかりとされているのが、ここで紹介する「阪田好」である。すぐ上写真の原本となった「坂田好」と「阪田好」の違いやその由来などは、「書体への誘い・阪田好」(▼別項参照)をご覧いただきたい。
この書体で依頼されたとき、現物の残された駒をイメージしてその趣を少し取り入れてみた。つまり、目の詰まった絹柾(糸柾の詰まった木地)で、面取りを通常よりやや大きくした。はたしてどこまでイメージできたかは、所蔵者とこの駒を手にする方にゆだねたい。
絹柾の目の詰まり具合や実際の面取りの具合は、左写真をご覧いただこう。駒木地だけで考えると、目が詰まる(年輪の間隔が詰まる)ほどいい木にはちがいない。ところが、通常の書体で駒を作った場合、どうしても駒字に目が行き、意外とぱっとしなくなるのである。
この「阪田好」は表が篆書・裏が筋彫り仕立てという変わり種なので、目の詰まった駒木地でも、独特の味わいが出てくるのである。駒を依頼しようとして駒木地を選ぶときに、ちょっと覚えておきたいポイントでもある。要するに駒木地と書体というものは、それなりに相性があるのである。