- 酔棋

駒のことなら何でもわかる!!

トップ 作り方 作品 フォト オークション 情報室 書体 名工 資料館 BOOK メール・問い合わせ

清安書楓虎斑書き駒
第343作(石井良明氏所蔵)


別カット

「王将」と「玉将」2枚。 拭き漆(左)、素材(右)のまま。

素材の駒木地。

 「将棋駒研究会」の会長・北田義之氏より、珍しい駒木地をいただいた。駒木地を作った北田さんでさえ、「素材がなんだかわからない」と言う。そこで、私のフェイスブックに素材の駒木地を掲載しみなさんに尋ねてみたところ、たぶん「栃」かもしれないという返事があった。ネットで調べてみると、同じような木質だったので、一応「栃」ということで最初は掲載した。
 しかし後日、「栃」ではなく、「北米のメープル」ではないかというご意見を、別の方からいただいた。そこで新たに調べて画像などを確認すると、どうやらそれでよさそうであることが判明した。ただし、一概に「北米のメープル」といっても、実際には「カーリーメープル」とか「シュガーメープル」など、いろいろあるみたいである。メープルを大きくくくれば、和名の「楓」に属するらしい。そこで今回の駒木地は、「楓」ということにした。
 全体としてはやや白くても、なかなかの虎斑が出ていたので、それを際立たせるのには漆拭き仕上げが合うと考えた。そこで余っている駒木地を、サンプルとして実際に漆拭きを施してみると、思ったとおりいい感じに仕上がった。ただし、黄楊に比べるとやや軽いのが難点ではあった。このサンプルを見ているうちに、これなら酔棋流の書き駒(「駒プレゼント第10回」▼別項参照)がいいと思い、制作方法はそれに決めた。
 次に書体選びも、それなりに悩んだ。この駒木地に合わせて、何の書体で作るか考えるのは、駒師としてなかなか至福のときでもある。当然なことに依頼されて駒を作る場合は、あくまでも依頼者のお好みで書体は決まってしまう。だからこそ、制約がなく初めから作るときは、本当に作りたい書体で作るという、好き勝手をしたくなるのだ。いろいろ書体は考えて、しばらくぶりで俗に「太字の清安」といわれる龍山作を源流とする「清安」にした。そのため、新たに字母紙作りから始めた。その太字のせいか、実際に駒を完成させてみると手触りなどもなかなかよく、軽かった欠点もあまり気にはならなくなった

「作品ライブラリー」トップに戻る

トップへもどる
駒の詩