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巻菱湖書島黄楊柾目書き駒
第336作(丸島基和氏所蔵)


別カット

(上)王将の表、(下)名字を入れた王将の裏。

 前項の「龍山安清(第335作)」(▼別項参照)を読んでいただいておわかりのように、その駒と今回の「巻菱湖(第336作)」は同じ書き駒でほぼ同時に完成したのである。将棋を通して知り合いとなり、駒を差し上げることになった前項の加藤さんと今回の丸島さんのおふたりは、将棋以外でも以前からお知り合いであった。
 あまりご存じないかもしれないが、「巻菱湖」は駒字そのものは太字ではなくても、意外と大ぶりに作ったほうが迫力が出る。だから、この「巻菱湖」は先の「龍山安清」よりは、同じような柾目でも一回り大きな駒木地で作った。書き駒とはいえ、書体そのものはトップページに掲載している300組目の記念作でもあり、盛り上げ駒の「巻菱湖(第300作)」(▼別項参照)とまったく同じである。
 今さら言うまでもないことだが、「巻菱湖」は駒の初級者から上級者までにも人気のある書体だ。また、プロ棋士のタイトル戦に、「錦旗」「水無瀬」と並んで登場することが多い書体でもある。流麗な筆致は、誰にとっても指しやすいのかもしれない。
 所蔵者となられた丸山さんは、「『王将』の裏に名前でも入れましょうか?」と駒を作るにあたって私(酔棋)がお尋ねしたところ、「それなら名字を入れてください」とおっしゃったので、左の写真のように名字を入れたのである。このような経験は初めてみたいでしたので、大変喜んでいただいた。
 この駒が完成し丸山さんにお渡しするときに、私のマンションで記念として魂入れの対局を指した。以前、二枚落ち(下手が丸山さん)で私が完敗しているので、その記念対局は飛車落ちで行った。からくも私の辛勝に終わったが、これからの丸山さんの将棋ライフに、この「巻菱湖」がお役に立てば贈った私としてもうれしいかぎりである。
 対局が終わってからは、丸山さんにお礼として焼き肉をご馳走していただいた。丸山さんんは基本的にお飲みにならないので私も飲まずに、将棋・駒談議に花を咲かせて楽しく過ごした。丸山さんにこの場を借りて、あらためて感謝していることを書きとめておきたい。

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駒の詩