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龍山安清島黄楊柾目書き駒
第335作(加藤貞顕氏所蔵)


別カット

(上)王将の表、(下)お名前を入れた王将の裏。

 今回の「龍山安清(第335作)」と次の「巻菱湖(第336作)」(▼別項参照)の2つは、同時に作った書き駒である。将棋を通じて知り合った所蔵者となったおふたりに、私が彼らにプレゼントしたものでもある。
 ひとつの記念になると思い、これらの駒には「王将」の裏にお名前(左の写真参照)と名字をそれぞれ彫り埋めで入れた。このように名前を入れたりすることは、プレゼントする駒によく行っているが、新たに制作を依頼されたり古い駒をお譲りする際にも、所蔵者となる方に頼まれれば入れることもある。みなさんも私に駒を依頼するときは、もしもご希望があるならば、ぜひお知らせいただきたい。「王将」や「玉将」の裏を盛り上げや書きにすると少し使いにくいかと思い、彫り埋めで入れることがほとんどである。とはいえそれは決まっていることでもないので、あくまでも所蔵者の希望に沿うことが基本である。
 これは他のページでもよくふれていることでもあるが、私(酔棋)の作る書き駒は実際に使ってみれば、その使い心地は通常の盛り上げ駒とまったく違わないことはおわかりいただけると思う。その書き駒の作り方やポイントは、「第9回酔棋制作駒プレゼント・真龍董齊(第329作)」(▼別項参照)をご覧いただきたい。
 この「龍山安清」は、同じ「作品ライブラリー」に掲載し私の愛用駒としている「龍山安清(第195作)」(▼別項参照)と駒木地は異なるが書体はまったく同じものである。愛用駒はかなり派手な虎杢で、今回のものは通常の柾目だ。このような素朴な柾目でも、長いこと使って指しているうちに徐々に飴色になっていくのは同じなので、加藤さんにはそれを楽しんでいただきたい。
 最後になったが、所蔵者となった加藤さんにプレゼントのお礼として中華料理をご馳走になり、ふたりでこの駒で記念対局をしたことに少しふれておきたい。新しい駒ができると私がよくする「魂入れ」の儀式(将棋を駒に教えるために、その駒で棋譜並べや対局をすること)を、ふたりで行ったのである。その記念すべき対局は、「あの駒は今・1.新宿ゴールデン街に駒音がする―将棋酒場『一歩(いちふ)』」(▼別項参照)でもおなじみの将棋酒場「一歩」で指した。矢倉の熱戦だったその対局の結果はともかくとして、新しい「龍山安清」はやや薄暗い酒場の盤上を舞ったのである。
 将棋がかなりお好きで棋力もなかなかのものである加藤さんの新しい棋友に、この「龍山安清」がなってくれれば、贈った私としてもありがたいことだ。

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駒の詩