この駒の素彫りの状態。この段階でも、虎杢の様子がよくわかる。 |
依頼者の希望による注文で、2007年の初めに木地師に新たに作ってもらった駒木地だ。やや派手な虎杢は、華麗な書体の代表とされる「巻菱湖」によく似合っている。
2007年度制作した駒の中では、同じ所蔵者の「宗歩好(第280作)」と並んで、思わず自ら作りながら気に入ってしまった双璧の駒かもしれない。
このような駒木地に出合うと、作業中にワクワク感がわき起こってくるのは、駒師の一つの喜びでもある。ただし、完成して手放すときは、逆に何となく寂しげになってしまうのも、駒師としての宿命なのであろう。