彫り埋めの完成時の大駒。色漆で隠れてしまうが、この状態では通常と同じく黒である。 | 濃い緑の色漆での盛り上げ。赤柾の赤いぐあいとマッチし、なかなかの味わいだ。 |
同じく「作品ライブラリー」の「鵞堂」(第262作)とまったく同じ書体だが、向こうは淡雪杢、こちらは赤柾なので、駒木地の違いから趣はガラリと変わってくる。
さらにこの「鵞堂」は、依頼者のお好みにより色漆(濃い緑)を使った盛り上げに制作。また、これも依頼者の趣向で、「鵞堂」としてはかなり珍しい双玉仕立てとなった。
もちろん依頼者あってのことなのだが、駒作りにおいての私のスタンスとしては、このような自分好みの駒を作るのも、場合に応じていいのではないかと考えている。つまり、イージーオーダー感覚の駒作りも、私のひとつの目標でもあるし、また新しいことにチャレンジするいい機会でもあるのだ。