この駒の依頼者が、駒の完成時に拙宅まで取りにいらした。そこで所蔵者と制作者で、「魂入れ」の儀式をかねて初対局(指し初め)を一局指すことになった。その記念対局の結果はともかく、相矢倉の熱戦であった。 |
同じ「作品ライブラリー」の別項で、彫り駒(島黄楊柾目・第227作)と盛り上げ駒(島黄楊赤目柾・第241作)の2作の「淇洲」を掲載。また、別項「書体への誘い・淇洲(第223作)」でも、この作品と同様に薩摩黄楊根杢の盛り上げ駒を掲載している。
よく依頼されることもあり、私自身も比較的好きな書体のひとつでもある。ご覧いただきおわかりのように、書体としては派手さはあまりないのだが、その素朴さがかえって駒木地を引き立てているといえるのかもしれない。
つまり、素朴な柾目をはじめとして、赤柾、根杢、虎斑など派手なものまで、島黄楊でも薩摩黄楊でも、黄楊の味わいを引き出すようだ。
他のところでもふれていることだが、この「淇洲書」は故・升田幸三贈名人の愛用駒をもとに、字母紙を作成した。