素彫りの状態でも、よく見ると虎斑ははっきりとしている。 |
この「水無瀬書」は、依頼者の持ち込みの駒木地で制作したもの。
同じく「作品ライブラリー」で掲載している、私の代表作「水無瀬書紫雲虎斑」(第150作)に魅入られての依頼とのことであった。そこで駒銘も、合わせて旧バージョンで制作。
ただし、そのような駒木地は手元にあるわけではないし、そう簡単に手に入るわけもまずないというか、駒を30年近く作ってきた私(酔棋)でさえ、これまでにあの「紫雲虎斑」しかお目にかかっていないのである。
そこで私が木地師の方を紹介して、依頼者がこの駒木地を手に入れ、その後に同じ「水無瀬書」で、私に制作依頼してきたのが経緯であった。
本来この駒木地は、虎斑が強く出ている根っこの部分であるから、「虎杢」と表記すべきだろう。そこを「紫雲虎斑」を少し意識して、「銀雲虎斑」と命名してみたがいかがだろうか?
ややシルバーメタリックな輝きのある雲のようなイメージを、この駒木地から抱いたからである。