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奥野錦旗薩摩黄楊斑入り柾盛り上げ駒
第225作(石井武文氏所蔵)


別カット

盛り上げた「玉将・歩兵」。

 15年前に自ら制作した下記写真の「彫り駒(2003年5月)」を盛り上げ駒に直したのが、今回の「奥野錦旗」である。私(酔棋)としても初めての試みで、いい経験にもなった。つまり、かなり使い込んだ「彫り駒」をサビ漆で埋め、さらに呂色漆で盛り上げたのだ。
 下記にも書いてあるように、最初に作った方の要望もあり木地呂漆+呂色漆のブレンド(朱合漆+呂色漆もあり)を使った「彫り駒」であった。このような漆の使い方は、私の好みでもあり、他にもたまに作ってきた。またあくまでもお好みだが、「盛り上げ駒」や「書き駒」でも、依頼者の要望で作るときもある。だが、所蔵者のお好みで、新たに直すときに通常の呂色漆を使ったのである。ちなみに駒銘は、最初のままにしてある。
 使い込んだ下写真の状態の駒を見たとき、いい味わいになっているので「そのまま使ったほうがいい」といったんはおすすめしたのだが、所蔵者は「どうしても盛り上げにしたい」とのことだったので、引き受けたわけだ。とはいえ、一瞬「うまくいくかな」という思いが頭をよぎった。それでも完成した新たな「盛り上げ駒」を目にすると、ホッとしたのは事実である。研磨する工程が多いので、仕上がりは少し薄くはなったが、指すのにはまったく問題はなかった。
 これを機にというわけではないだろうが、つい最近この駒と同時期の「彫り駒」を、やはり「盛り上げ駒」に直すことになった。これも一つの縁なのだろうか。

最初の記事

2003年制作の「奥野錦旗薩摩黄楊彫り駒(第225作)。

 最初は第201作(当時非売品)の問い合わせだったものだが、依頼者に確認のうえ、同じ作りに仕上げた。つまり、薩摩黄楊に木地呂+呂色(茶色みを帯びた漆)を使用した。
 この書体で、同様の仕上げのものを他に何組か制作している。この味わいが、駒木地、書体共にぴったり合うのだろう。これを機会に、字母紙も全面的に作り直した。
  ちなみに、依頼者の田中さん(当時)は、現在では「剣心」という号で、彫り駒を数多く作っている。その後、この駒を田中さんは手放し、現在の所蔵者がヤフオクで落札し入手。

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駒の詩