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酔棋制作駒プレゼント抽選<第13回>

 

「酔棋制作駒第4回個展」会場ご来場者応募
2016年10月15日(土曜)18時〜10月16日(土曜)17時

当選者と完成駒発表!

 「第4回個展」(▼別項参照)の会場にて、ご来場者に応募いただきました。下記に書いてあるとおり、個展2日目の10月16日17時より厳正なる抽選を行い、当選者を決定いたしました。後日、当選した方に駒木地「中国黄楊虎杢」をお渡しし、お好みの製法「彫り駒」と書体「三孝」を選んでいただき、完成したのが下記に紹介する「三孝書中国黄楊虎杢彫り駒・酔棋作(第407作)」です。
 抽選の模様や完成した駒紹介をご覧ください!


  『駒の詩』へのアクセス数が2016年12月で、22万を超えました。いつも『駒の詩』をご覧いただいているみなさんのおかげです。そのみなさんへの感謝の意も込めて、また例年のように開催している、酔棋からの「駒プレゼント抽選の第13回」を「第4回個展」にいらした方に会場で応募いただき抽選し、当選者が決定いたしました。

駒プレゼント(博堂)当選者

お名前・田村将司さん(埼玉)

当選時の喜びのメール

  抽選で当たることに縁がないので驚いています。
今回も全然当たるとか考えていないで、 抽選の時間にはすっかり忘れて「笑点」を見ていました。
 素晴らしいものをいただけるので、 一生ものとして使い込んでいこうと思います。


駒を手にした喜びのコメント
田村さんは、埼玉在住の方です
駒の飾りケースの前で、完成した「三孝」を手にする田村将司さん。

 このたびは本当にありがとうございました
 小学校低学年のころ親父に教わって将棋を少しかじってましたが、定跡なども全然気にしないで当然長続きがしませんでした。 以来、将棋というゲームは知っていましたが手にふれることもなかったのですが、ニコニコ動画でタイトル戦の中継を見て子供のころはわからなかったおもしろさがわかって再開しました 。 子供のころと違って、大人なので定跡なども本で勉強をしてまだまだヘボですがお年寄りから子供まで同じ土俵で戦える頭脳格闘技を楽しんでいます。
 将棋を再開するにあたって最初の壁だったのが棋具です。小学生のころは近くのデパートのおもちゃ売り場で折れ盤と安い駒(歩がT三のもの)を買ってもらったのですが、今はおもちゃ売り場も減り気軽に棋具を買うことができない状態でした。幸いネットが発達していて通販で簡単に駒を買えるので機械彫りですが、「菱湖」の銘駒とヒバの将棋盤を購入しました。
 思えばこれが駒に興味をもつ第一歩だったと思います。全然知らない人から見れば書体や木地は全然気にならないものですが、自分の知らなかった世界があることを知りまし た。 その後、たまたまある方に銘駒をたくさん見せていただいて、それが本当にものすごいものばかりで、まだ見る目もない私にも本当にキラキラした木の宝石のような駒の美しさに魅せられてしまいました。
 その後、転勤で仙台に短期間ですが在住したときに、天童を訪問して初めて手彫りの銘駒(月山作「菱湖」)を購入しました。実際に使用してみて機械彫りとは違う差し味、満足度を覚え、無理のない範囲で少しずつ駒を集めるようになっていきました。
 今回、ふだんからこういう抽選にまったく縁がない私にとって、不思議なめぐり合わせだったと思えてなりません。 「三孝」という書体をネットで知り、その格好のよい字体にいつしかこの書体の駒を手にしたいと思うようになりました。そんな ことを思っていた2016年の春の富士駒の展示会でたまたま北田先生が会場にいらっしゃっていて、面識がまったくないにもかかわらず「三孝の彫り駒が欲しい」とご相談させていただいたところ、字母紙をいただき誰かに彫ってもらったらいいよと不躾な私に対して大変な心遣いをいただきました。
 とはいえ、字母紙からのオーダーも経験がなく(したとしても駒師の方が気分を害されるのではないかとか)、いただいた字母紙を見て楽しむ日が続きました、そのときたまたまネットで酔棋先生の展示会を知り、見るだけでもありがたいことだとうかがったところ抽選が当たったとの連絡が、それもクジを引いたのが北田先生ということで不思議な縁を感じます。
 駒の書体を選びにうかがった日も、実は北田先生からいただいた「三孝の字母 」を持参したのですが(酔棋先生のHPにはおうかがいした日には三孝は載っていませんでした)拝見した『酔棋字母帳』に「三孝」があり迷わず選びました。
 出来上がった駒は彫り駒にはもったいない上質の木地で、幾分薄めのものです。「中国黄楊」が堅いのか、根なので堅いのかまではわかりませんが、若干薄くて堅いこの駒は指してみて本当にパチンといい感触がします。模様も大駒から小駒までよくそろっていて、並べるだけでうれしくなってきます。
 そしてなんといっても「三孝」の鋭い格好よさ、本当に一生ものの逸品でまだまだヘボ将棋ですが、この駒と一緒にヘボを卒業したいと思います。

田村さんの高級愛車。

※今回の駒プレゼントが田村さんに当たったことと選んだ書体「三孝」には、上記に書いてあるように不思議なご縁を感じました。また、将棋や駒にもかなり魅かれているようですが、その他健康のためにも自転車をたまに乗っているとのことです。その高級愛車の写真を送付してもらい掲載しました。田村さんのこれからの将棋ライフの一つとして、新しい「三孝」が手助けになることを、作った私(酔棋)としても願っています。

■会場抽選駒プレゼント(当選1名)
三孝書中国黄楊虎杢彫り駒」(第407作)紹介




さらに別カット

三孝書中国黄楊虎杢
彫り駒
酔棋作(第407
作)

※ここで掲載しているよりもさらに大きな写真が見たい方は、「フォトライブラリー」(▼別項参照)へ行って「▼オークション出品・プレゼント抽選・将棋大会」(下のほう)で、作品番号(No.407)をお探しください。

●書体の「三孝(さんこう)」について

実際の駒字における「三孝」の書体の共通点とその魅力は、の箇所の筆のハイリやハネに表れている。

▲拡大

 私の駒制作リストを調べてみたら、1985年制作の「三孝書島黄楊板目彫り駒(第32作)」をはじめ、かつて2作は作ったと思われます。どちらにしても30年以上たつので、本当に久しぶりになります。
 もちろん、今回は抽選駒プレゼントに当選した田村さんのお好みでこの書体を作ることになったわけですが、あらためて作ってみたらこの書体のおもしろさや独特なその表現力に私自身も自然と魅かれていました。すぐ上で紹介しているように、その魅力は駒字全体に表れている共通点ではないかと思われます。駒の書体は各駒字がいくらよくても、全部の駒字に共通点がないと、盤に並べたときに違和感を覚えてしまいます。左の「字母紙」や完成した上の写真をご覧になっておわかりのように、この書体は全体のトーンがそろい、盤に並べると気持ちよささえ感じさせます。
 この書体の由来については、「字母紙」の中でもふれています。そこを下記に抜粋し掲載しておきます。

 ――「将棋駒研究会」会長・北田義之氏の叔父・北田三孝(2011年没)がこの「三孝(さんこう)」の駒字の主。それを駒の書体に仕上げたのが、先の義之氏である。
  北田三孝(名前の読みは「みつたか」)は、東京都の役人で、若いときには画家をめざしていたくらい芸術に堪能であった。また、都庁の雑誌の表紙に絵を描いていたように、その芸術的個性が十分に垣間見える駒字といえよう――

 田村さんが「喜びのコメント」にも書いているように、この「三孝」はまさに北田さんに深い縁のある由来の書体なのです。かなり以前にその書体を入手し、2013年に私がバランスや大きさを整え、あらためて字母紙にしておいたものを、今回の制作に使いました。これを機に、いずれ私が得意にしている「書き駒」でこの「三孝」を作ってみようかと考えています。
 最後になりましたが、下の根付は田村さんのお好みで、余った駒木地(「金将」の大きさ)で「書き駒にしたものです。表が「長録の玉将」、裏が緑色漆でお名前「将司」にしました。


●魂入れの記念対局

手前が私(上手)、奥が田村さん(下手)の二枚落ち戦。 駒組みが整い、仕掛けを熟慮する。

下手「二歩突き切り」定跡の駒組み。
▲盤面拡大
上手の頓死で投了となった。
▲盤面拡大

 「三孝」の完成をお知らせすると、12月某日に田村さんは駒を受け取りに拙宅までいらっしゃった。完成した駒を田村さんはご覧になって、しばし歓談ののち、一局記念対局を指すことになりました。駒をお渡しするときに新しく所蔵者となられた方と、よく一局指します。これは「魂入れ」と呼んで、新しい駒に将棋を教えるための一つの儀式でもあります。
 田村さんに棋力をうかがったところ、初段には届かないということでしたので、記念対局は私が上手の二枚落ち戦となりました。下手の「二歩突き切り」定跡で進み、途中かなりまぎれて上手が飛車を手に入れおもしろくなったと思ったとたんに、下手の勝負手に間違えて頓死し、上手の投了となりました。
 終局後の感想戦で検討してみたところ、まだまだ難しい変化もあり、勝負はどうなったかわからなかったかもしれません。とはいえ新しいこの「三孝」の彫り駒は、所蔵者となった田村さんに初勝利をもたらしたのです。
 田村さんにおうかがいしたところ、所蔵している他のいくつかの駒とともに、この「三孝」もローテーションで指して使うとのことでした。先の「喜びのコメント」にもあるように、「三孝」という書体は、田村さんと不思議な縁で結ばれているような気もしますので、いつかこの「三孝」に再び私もめぐり合って、育ち具合を見るのを楽しみにしています。

●プレゼント駒の駒木地と抽選の模様(10月16日午後5時、個展会場にて)

駒木地・中国黄楊虎杢

 田村さんが抽選によって当選した駒木地。この駒木地で「彫り駒」を希望の書体「三孝」で作ることに決定しました。
 予定どおりに、2016年12月に完成しました。


▲拡大 ▲拡大


  「第4回個展」(▼別項参照)に掲載しているものを、ここにも再掲します。上記の駒木地「中国黄楊虎杢」は、会場にいらして抽選に応募(連絡先/お名前、携帯番号かメールアドレスを書き抽選箱に入れて応募する)していただいたみなさんを、16日(日曜)午後5時に厳正なる抽選を行って当選者を決定しました。 抽選の模様は下の写真をご覧ください。抽選を行ったのは、北田さん、三上さん、私(酔棋)です。

北田さんが、抽選箱から1枚引き
ます。
当たりを確認する三上さんと私。 10番目に応募いただいた田村さ
んが当選 しました!

  すでにお知らせしたように、当選者は埼玉在住の田村将司さんに決定しました! 田村さんに電話で当選をお知らせすると、第一声は「エッ! マジ」でした(笑い)が、その後喜びも伝わってきました。抽選から翌週の土曜日に田村さんに拙宅までおいでいただき、下記のように『酔棋字母帳』からお好みの書体を選んでもらい、上記の「中国黄楊虎杢」の駒木地で「三孝」の「彫り駒」を作ることになりました。

田村さん(左)に駒木地をお渡しする。 『字母帳』をご覧になり、「三孝」を選ぶ。

 

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