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芙蓉(峰?)薩摩黄楊彫り駒・水月作
(樋村和己氏所蔵)

駒銘には作者名はなく、「芙蓉」しか見られない。このような略字が、通常は「芙蓉」として知られている。やや肉厚で縦長な駒形も、このタイプの「芙蓉」には多い。

 上写真が、今回紹介する駒の駒銘である。少し読みにくいが、判別すると書体名は「芙蓉」、駒師名が「水月」と見てとれる。
 駒銘の「芙蓉」は、古くから大阪の彫り駒の書体として知られてきた。よく見受けられるものとしては、左の写真で掲載している「芙蓉」(略字)が多い。ここで取り上げた「芙蓉」(草書)は、どちらかというと、一般的には「峰(峯)」(草書)という書体名で知られてもいるし、作られてもいる。
 いずれ「峰」についても、別項の「書体への誘い」で取り上げるつもりだが、この書体は書家の字が源流ということくらいしか、詳細は不明である。
 「芙蓉」という駒銘には、他に大阪に伝わる深彫りの書体(略字)にも見られる。そのようなところから察すると、「峰」と「芙蓉」の書体名としてのつながりには、何らかの関係があるのだろうか。もしかすると、「芙蓉」は「金龍」などと同じく古来伝わる駒師名で、その駒師が作った書体が「峰」だったとも思える。
 また、作者の「水月」についても、大阪の駒師であることぐらいしかわからない。かつては下職も多かったといわれる駒作りの定めなのか、名前が残らない駒師もかなりいたのではないだろうか。

 ※後日、掲示板にて「かかし」さんという方が、「芙蓉の駒師・水月は増田開新堂の信華の弟で、大阪にありながら豊島の字母を使っておりました」とコメントを寄せていただいている。

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