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石薫書島黄楊虎斑書き駒
第438作
(井上智史氏所蔵)


別カット


「3玉」真ん中の「玉」の最終棒が極端に長い。


加工する前の字母(一部)。

 今回の「石薫書」は、依頼者にとって特別な駒になったと思う。
 2019年の春くらいに、『駒の詩』をご覧になり「自分の祖母の駒字で、書体と駒を作っていただけませんか」という内容だった。駒についてのサイトをいろいろと検索して、私のHPにたどり着いたようだ。
 とりあえず一度お会いして、その経緯など詳細をうかがってから、ということにした。話の内容は、依頼者の祖母がご高齢で、書家なのだという。そこで、祖母の字で駒を作り、残しておきたいとのことだ。依頼者の思いが、私(酔棋)にもひしひしと伝わってきた。
 まずは、駒字そのものの独特な成り立ちなど、拙著『将棋駒の世界』(▼別項参照)を差し上げ、それを依頼者の祖母に伝えてもらうことにした。それを踏まえて、2倍にしたそれぞれの駒形(左の駒字参照)を渡し、それらをコピーにしたためてもらった。実際にはそれぞれ数枚書いてもらい、それらのいいところを抽出し、私がパソコンで加工し、駒の書体としたのである。書体名は、もちろん祖母の書家としての号であった「石薫書」となった。
 実際に祖母のお住まいは遠かったので、夏に依頼者が帰省したときに受け取ってきて、それを私のところに持参した。「玉将」の「玉」の最終棒がやけに長いので、「できれば王将と玉将は点のあるなしに、したほうがいいですよ」と進言したのだが、「そのままにしてほしい」とのことだった。ただ幸いなことに、持ち込みの駒木地は、「王将」サイズが3枚あったので、上写真のように「3玉」となったのだ。
 長いこと駒作りを続けていると、いろいろなことがある。今回のような形で駒を作ることになったのも、ある意味で依頼者の思いにこたえたことになるのだろう。

※もっと大きな写真を見たい場合は、「フォトライブラリー」(▼参照)で、「作品ライブラリー・438」を探してください。

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駒の詩