駒の裏字は原則として草書だが、このような楷書・行書の「龍王・龍馬」も珍しいが、何書体か他にも見られる。 |
依頼されたために、ほぼ20年ぶりに作る書体になるので、今回あらためて字母紙から作り直した。
駒木地が比較的派手めな虎斑であったから、「水無瀬兼成」のような太字で作っても、駒木地そのもののよさは失われていないと思う。
淡い(薄い)虎斑などでは、駒木地のときに虎斑に見えても、太字の書体で作ると、元の虎斑のよさが隠れてしまいがっかりすることがある。その場合は、比較的細字の書体のほうが、その木地の味わいが残るというわけだ。
意外と知られていないことだが、駒形や駒木地と書体との相性というのも、駒を見るうえでは覚えておきたいポイントのひとつである。
上写真の「飛車・龍王」「角・龍馬」をご覧いただきたい。これは別に決まりがあるわけではないが、私(酔棋)は表字(飛車・角)は虎斑の流れが右上がりに、裏字(龍王・龍馬)はその逆に右下がりにしている。つまり駒の表字と裏字が、すべて同じ流れの虎斑となっている。ちなみに私の作る虎斑の駒は、ほとんどがこのようになっているはずだ。これもひとつのこだわりといえるのかもしれない。