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玉舟書島黄楊杢書き駒
第358作(松枝正義氏
所蔵)


別カット

上の「歩・と金」は、通常(木村作)の「玉舟」のものが原本。下の「歩・と金」は、影水作が原本となっている。「と金」の形状が、ガラリと変わっているのが特徴といえるだろう。

 この駒は、ネットオークションでこの駒木地(島黄楊杢)を落とし、それでこの「玉舟」を制作依頼されたものである。いくつかの大駒にはふわっとした杢が出ているが、惜しむらくは他の駒はあまり杢というより普通の柾目に近い。昨今では、このようにオークションで駒木地を手に入れる方も多いと思われるが、微妙な杢や虎斑などの出具合は、実際の駒木地でも判断しにくいのだから、写真ではまず難しいと考えておいたほうが無難である。
 また、依頼者は書体にも、かなりのこだわりがあったようだ。「書体への誘い・玉舟」(▼別項参照)で紹介しているように、「玉舟」という書体は駒師・「木村文俊」(▼別項参照)のオリジナル書体の一つでもある。その書体自体ももちろんいいと思われるが、依頼者はどうしても影水作(▼別項参照)の「玉舟」で作ってほしいとのことであった。そこで、何とか影水作「玉舟」の原本を探し出し、新たに字母紙を作ってから書き駒にしたのである。
 この「玉舟」は全体的に駒字のハネやトメなどが派手な感じはするが、それほどの嫌味もなくこの書体の魅力を引き出しているとも思える。好き嫌いはともかくとして、さすがは影水の処理なのかと、感心させられた。
 最近では、字母紙から駒を作ることも多くなった。今回のように依頼されたからというのも当然あるが、別の理由としては、私(酔棋)自身30年以上駒にかかわってきたのだから、『酔棋字母帳』(2014年現在、70種類以上)をより充実させたいと考えているからでもある。後世に残すというほど大げさなつもりはないが、私が駒を作りつづけてきたひとつの証みたいなものにでもなれば、という気持ちも少しはある。

 

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駒の詩