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酔棋流駒の作り方1―駒作りの環境と道具

▼他の工程へ
2駒作りのための字母紙3彫り駒の工程・彫り駒完成4彫り埋め作業
5面取り・仕上げ磨き・彫り埋め駒の完成6盛り上げ作業・盛り上げ駒の完成

▼酔棋流書き駒1「書き駒教室」用の書き駒

 

 駒作りに決まった正しい方法があるわけではない。10人の駒師がいれば10通りのやり方が存在するといわれるくらい、細かいところは実にバラエティーに富んでいる。ここで紹介するのは、そのうちのひとつにすぎないあくまでも「酔棋流」であることをお断りしておく。
 駒作りそのものを実践的に
解説するため、別項の「作品ライブラリー」に掲載している「新龍薩摩黄楊孔雀杢盛り上げ駒・酔棋作(第344作)」(▼別項参照)が、駒木地から完成するまでを各ページごとに順を追っていくことにする。このページを含めて全部で6ページに分けてあるので、興味のあるところだけどもご覧いただきたい。その場合は、上記の「他の工程へ」で移動していただこう。
 これはあくまでも私見だが、かりに作る駒が「盛り上げ駒」だとしても、彫りの工程のあとで漆を入れれば「彫り駒」が完成し、彫り埋めの工程のあとで仕上げ磨きをすれば「彫り埋め駒」が完成する。さらに盛り上げの工程を行えば、「盛り上げ駒」が完成する。つまり、彫り駒→彫り埋め駒→盛り上げ駒のように段階を経ていくと、私(酔棋)は考えているので、彫り駒用の彫りもなければ盛り上げ用の彫りといった区別はまったくしていないのである。ただし、私が得意にしている「酔棋流書き駒」は先の工程とはかなり異なっているので、別項であらためて紹介している。
 ページ末にある「次へ→」をクリックすると、順次次の工程へ進める。また他の工程や「酔棋流書き駒」へ移動したい場合は、その箇所をクリックしていただきたい。


これらの環境での駒作り

 私(酔棋)自身、30年以上にわたって駒作りを続けているうちに、自然と駒を作るための下のような環境もだんだんと整ってきた。現在ではどの環境が失われたとしても、駒作りに差し障りが出てくるにちがいない。歳月そのものがつくりあげたのが、現在の環境といっていいのかもしれない。

駒作りコックピット
寝室の一部に備えた作業する文机に、回転する籐の椅子。まるで飛行機やF1のコックピットのように、座ったままでいろいろな道具など取り出すことができ、作業がしやすくなっている。右に少し見えるサブ机は、実は中は将棋盤になっている。

駒木地ケース
現在制作中や、これから作る予定の駒木地を保管している。また、「金」や「歩」をはじめ余分な余り駒や半端になった駒木地を、大きさによってそれぞれ分けて保管している。万が一失敗などした場合に、ここから同じような駒木地を探し出して使用する。
デスクとパソコン
駒作りの作業は別室の文机でするが、仕事(書籍編集など)や字母紙作りなどは、フォトショップやイラストレーターを駆使して、ほとんどパソコンでする。
漆乾燥ケース
駒の漆を乾かすために入れておくケースは、もともとは写真のフィルムに使うものらしいが、外と中が完全に閉鎖されているので、湿度の管理が適切にできる。温度計と湿度計もつけた。
駒飾りケースとプリンター、スキャナー
完成した駒を飾っておくケース。現在はあまり手持ちの駒が少なくなっているので、一部駒木地も飾っている。私はパソコンで字母紙を作るので、プリンターとかスキャナーは必需品である。
ミニスタジオ
完成した駒などを撮影するミミニスタジオ。『駒の詩』に掲載している写真は、ほとんどここで撮影している。ライトが自由に動かせるので、撮影しやすい。
バックに使う布や紙
駒を撮影するには、下に敷く布や紙などが結構大事である。そこで色や模様も含めて各種取りそろえている。ところが、よく使うバックの布はどうしても限られてくる。


駒作りに使う道具

 下記で紹介する以外にも、「駒作りに使えるものなら何でも使う」の精神で、試しにいろいろなものを使ってみる。まさに「ダメもと」といった感じでやっている。「100円ショップ」でよく買ってくるプラスチック製品をはじめ、ティッシュ、サランラップ、メインディングテープなども日常的によく使っている。それらの使い方については、それぞれの工程で出てくるときに解説する。

作業する文机の引き出しの中
日常的によく使う、印刀や彫り台、漆筆などをはじめ各種の道具などを収納している。その他としては、サランラップやスティックタイプののりなどがある。

印刀・彫り台など
駒を彫るための印刀は、かなりの数がある。彫り台などの使い方は、彫りの工程で解説。ヘッドルーペは最近ではすっかり必需品になってしまった。
各種溶剤
彫ったあとに使う「シェラックニス」、盛り上げの目止めに使う「水性との粉」、その他に「片脳油」「アルコール」「オリーブオイル」「椿油」「水」など。
筆やハケなど
漆筆は、最近では形状記憶筆インターローンを使用。ハケは彫り駒のときに使用。ペン皿は漆や片脳油などを入れて使う。
盛り上げ台
彫り埋め駒をとめて、字母紙をそばに置いて盛り上げる(書き駒のときも同様である)。中央が回転するので、向きが自由に変えられる。プラスチックのスプーンに漆を入れる。
漆乾燥台
駒を並べてムロ(漆乾燥ケース)に入れる。盛り上げの場合、ゴミやホコリがつかないように、盛り上げたほうを下にする。左のプラスチック箱は、駒銘専用である。
温度計と湿度計
漆乾燥ケースの中と部屋の中にも同じものを置いて、湿度や温度の違いを確かめて、水分を漆マットで調節している。
漆各種
盛り上げには、日本産の呂色漆を使う。彫り埋めには瀬〆漆(生漆)や中国産の呂色漆を使用。書き駒に使う絵漆、その他に木地呂漆、朱合漆、色漆なども適宜使用。
サンドペーパーなど各
私が使っているサンドペーパーは、駒木地の整形や研ぎ出しに使う100番、400番。仕上げに使う800番、1200番。盛り上げ前の最終磨きとして、ラッピングフィルム、プラスッチククロス。

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