「玉将・歩兵」で漆の透け具合がわかる。 | 横から撮った「双玉」で肉厚の作りが見える。 |
この駒の所蔵者が、2019年にネットオークションで落札した駒。駒銘を掲載しなかったのは、漆が飛んでなくなったわけではなく最初から書かれていなかったからだ。
透けてきている漆の具合や、やや縦長で肉厚な駒形から、相当に古い駒なのは拝見してすぐにわかった。これは単なる偶然なのだが、表裏ともに独特な隷書の駒がこの駒の半年ほど前に、ネットオークションに出品された。その駒銘には「金龍(花押)」となっていた。それを基に字母紙を作り、新たに作った駒が「書体への誘い・金龍(花押)」(▼別項参照)に掲載した「金龍(花押)島黄楊虎斑書き駒(第430作)」だ。その駒を作ってから半年後くらいに、私の駒友が今回の駒を偶然手に入れたのだ。そこで、今回のこの駒は駒銘はないが、「金龍(花押)?」としたのだ。作者は不詳だが、おそらく江戸期から登場した「金龍」そのものではないだろうか?
また、先の駒友は影水作の「金龍彫り駒」も、相前後して手に入れ、それを基にして「作品ライブラリー・金龍島黄楊薄虎斑書き駒(第437作)」(▼別項参照)を作ることになった。
何か不思議な縁を感じさせる、やたらに「金龍」にかかわった今年(2019年)の一連の出来事だった。「駒が駒を呼ぶ」
などという言葉はもちろんないだろうが、そんな思いがふと浮かんだ。