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高島九段好薩摩黄楊杢盛り上げ駒・光源作
(武市義春氏所蔵)


別カット

「龍馬」「桂馬」の印は、漆が飛んでいる箇所。

 ある収集家が、所蔵している方からお借りして持ち込んできた非常に珍しい盛り上げ駒を紹介する。「高島九段好」という書体も、私(酔棋)自身も初めてお目にかかるが、作者の「光源」もまったくこれまでにも見たことがないし知らなかった。駒の鑑定もよく行っている「将棋駒研究会」会長・北田義之氏にもうかがってみたが、同様に初めてだという。
 「高島九段好」という書体名から、1986年に亡くなられている高島一岐代九段が思い浮かぶ。1955年に時の名人、大山康晴に挑戦したのをはじめ、A級9期在籍と活躍していた棋士だ。1962年に引退し、1979年に九段になっている。
 書体名には「高島九段好」となっているところから、九段になってから作られた駒であることがわかる。よって、1979年から没年1986年までの8年間に作られたものとも推測できる。作られてから、約30年以上はたっているのかもしれない。「と金」のくるっと回る表現などに特徴があり、全体としては軽妙な感じがする書体だ。作者の「光源」について、ご存じの方がいらしたら、じかに私にその詳細をメールにて知らせていただきたいものである。
 上の駒銘を見ればおわかりのとおり、書体名の「高島九段好」は彫りで、「光源作」は盛り上げで作られている。「駒銘」の書体名と作者名で製法が違うのは、かなり珍しいといえるだろう。また、左の写真「龍馬」「桂馬」の一部に、漆の飛びが見られる。それをよく見れば彫りもさほど達者ではなく、盛り上げもけっしてうまいとはいいにくいが、全体としては小ぶりの杢の駒木地とマッチして、なかなかいい味わいである。
 駒の資料としては、プロ棋士の名がついた書体というところからも、大変に貴重なものにはちがいはない。私自身がこれから制作するかどうかは何とも言えないが、資料としてこの「高島九段好」は『酔棋字母帳』に加えておくつもりだ。この書体での制作希望がおありの方は、一応私に連絡していただきたい。

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駒の詩