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源兵衛清安花押島黄楊根杢盛り上げ駒・藤好信華作
(新川毅氏所蔵)


 上写真の駒箱と駒袋に、この駒は収まっていた。この駒箱は、素材は花梨か何かのなのかはっきりとわからないが、作りも味もなかなかで、現代にはあまり見受けられないものであった。

 所蔵者がこの駒を手に入れたときは、すぐ上の写真のようにところどころの漆が飛んでいた。それをある駒師の方に直していただき、現状のように回復させたのである。
 このような名駒についてはいくらボロボロになっても、直さないほうがいいというのもひとつの見識である。しかし、私もたまに頼まれて駒の修理を行うことがあるので、このように駒を復元して甦らせるというのも、よく理解できる。実際に駒を直しているときに、かつての名工に出会うことができるような気さえしてくるのである。

 私の個展(2005年3月)にご来場いただいた方が、友人から預かって持参した駒である。所蔵者が、旅行先の古物商で見つけたものだという。
 この駒の作者は、同じ資料館の別項「金龍」「安清」で紹介している「信華」である。流麗な駒銘を見比べていただければ、一目瞭然であろう。
 ただし、こちらの駒銘は「藤好信華」と少し異なっている。
 「金龍」のところでもふれたことだが、作者の「信華」は、大正から昭和の初期にかけて活躍した女流駒師。大阪の駒師・増田虎造の娘とされ、2代・龍山「名工の轍・豊島龍山」に嫁いだが、数年後に同家を去っている。
 そこで、その後に嫁いだ先が、「藤好」という名字だったとも考えられなくもないが、それには何の根拠もない。むしろ藤の花を信華が好んでいたと解釈したほうが、流麗な駒銘に似つかわしくないだろうか?
 また、駒銘の「源兵衛清安」の下についた文字のようなものは、「花押(かおう)」といい、一種のサインである。まれに古い駒には、このような花押が入っていることがある。
 もちろん歳月がもたらす味わいも含めてだが、今まで私が拝見した「源兵衛清安」の中でも、この駒はトップクラスのような気がした。

 

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駒の詩