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水無瀬書中国黄楊根杢盛り上げ駒
第396作(飯島 隆氏
所蔵)


別カット

私(酔棋/右)と所蔵者(左)の二枚落ち戦。 そろそろ序盤の組み上がり。▼局面拡大

 

駒木地
彫り
彫り埋め
盛り上げ

 同じ「作品ライブラリー・水無瀬書赤柾(第395作)」(▼別項参照)に引き続き、同書体の「水無瀬」である。こちらはかなり派手な「中国黄楊根杢」の駒木地だ。だから、これらの2作を比べると同書体とはいえ、まったく趣が異なってくる。どちらがお好みかは、人によってそれぞれだろう。
 一番上の駒写真をご覧いただきたい。その中に使っている駒袋は、「関西駒の会」から駒作り仲間として「将棋駒研究会例会」に参加している女性の大森さん(号・玲雅)が作ったものである。私もいくつか手に入れたので、ときどき駒写真に使っていくつもりである。駒はもちろんのこと駒にまつわるグッズ(駒箱・平箱・駒袋など)も、なかなか楽しいものなのでときどき紹介している。
 今回の駒を依頼された飯島さんは、私の所属している「将棋駒研究会」に昨年から参加するようになった駒作り初心者でもある。つまり、駒作り仲間でもあるわけだ。2015年10月に私が行った講演「将棋駒の世界〜歴史とその魅力〜」(NHK文化センター柏教室/▼別項参照)にいらしていただき、そのときに私が持参したおなじみの「水無瀬書島黄楊紫雲虎斑盛り上げ駒(第150作)」(▼別項参照)をご覧になって、飯島さんはどうしてもそのような「水無瀬」が欲しくなったという。
 そこでネットで私の駒木地をご覧になり、「中国黄楊根杢」を選び依頼してきたものである。ちなみに左に掲載した写真は、上から「駒木地」「彫り」「彫り埋め」「盛り上げ完成」と並べてあるので、この「水無瀬」が完成するまでの工程がおわかりいただけることだろう。
 先日(2016年3月20日)行った「将棋駒研究会例会」のときに、完成した「水無瀬」を持参し飯島さんにお渡しした。その節に、「魂入れ」儀式もかねて制作者と依頼者の記念対局を行った(上写真参照)。飯島さんは棋力が3〜4級というので、新しい飛車と角を外し私が上手の二枚落ちでの対戦となった。その対局は、オーソドックスな駒組から下手の仕掛けに上手が変化球を投げ、かなりまぎれた局面に進んだ。途中上手が成銀を取らせるように仕向けるが、その罠にハマらず冷静に対処し、下手が見事に勝ち切った。どうやらこの新しい「水無瀬」は、所蔵者となった飯島さんの魂が組み込まれたのかもしれない。作った私としても、ちょっとうれしい敗戦となった。
 ここには掲載はしていないが、飯島さん一家に記念として書き駒根付を作って差し上げた。飯島さんのものは表に「長録の龍馬」を加工して「左馬」(呂色漆)、裏に名前を浅葱色漆(青)で入れた、奥様には私の得意にしている色漆を使ったバラ、息子さんは恐竜にした。後日、ご家族にもそれらの根付が好評だったとメールで連絡をもらい、私もちょっとした和みをいただいた。
 

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駒の詩