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草玉書島黄楊柾目盛り上げ駒・吉信作
(松枝正義氏所蔵)


別カット


盛り上げの具合や面取りは「奥野風」。

 影水(▼別項参照)などをはじめとする銘駒の収集家でもあり、たまに駒も依頼される私の駒友が、2018年にネットで落札した駒だ。書体名は「草玉書」となっているが、本来これに似た書体は別名の「昭玉書」で残されている。作者によって書体名が変わることは、奥野作の「錦旗(昇龍斎)」(▼別項参照)をはじめいくつか他にも見られる。
  さて作者の「吉信」について、私自身は初見だが、かなり古くから少数だが作られていたらしい。新橋にある「中村碁盤店」の先代店主、中村吉信がその銘の主。「中村碁盤店」といえば、「潜龍」(下段写真参照/『将棋駒の世界』P130掲載)の駒銘がよく知られている。実際に「中村碁盤店」は、盤師であって駒の制作はじかにはしておらず、職人たちに作らせていた。その一人が、金井静山(▼別項参照)なのも知られていることだ。
 上写真の駒銘を見ると、さらさらと書かれていてかなりの手練れの作とわかる。この駒銘の雰囲気や面取りが、奥野一香作(▼別項参照)と同じなのである。ということは、奥野商店で実際に駒を作っていたとされるM氏がこの駒の作者なのかもしれない。つまり、先代の店主「吉信」が、職人のM氏に作らせ、販売していたのが「草玉書」なのかという、推測が成り立つ。
 まだ、この書体は字母紙にはしていないが、いずれ『酔棋字母帳』に加えておこうと思っている。それくらい魅惑的な雰囲気を醸している駒なのだ。このように、隠れた名工の駒も、たまにだが出現することもある。

潜龍作「錦旗」。横に書かれた駒銘が特徴。

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