手だれたスパッとした彫りが見て取れる。 | この駒が収められた箱書きされた駒箱。 |
将棋駒生産で知られる天童市で名を馳せた、彫り駒の元祖・三河金光(1862〜1939年)の作った駒だ。
すぐ上の駒箱(写真参照)には、「今上陛下 御嘉納眞書彫駒 六十八翁金光刀」と書かれている。また、駒銘(写真参照)にも書体名はなく「金光刀」だけが、素彫りで彫られている。だから、厳密には「金光刀」の書体名はおかしいのだろが、書体不詳よりもわかりやすいので、一応「金光刀」にした。
金光が活躍していたころ、当時「金光の駒は大正天皇に献上されるほどの逸品」といわれ、実際に駒箱に「今上陛下」と書かれているものが多い。この駒箱に「六十八翁金光刀」と書かれているように、かなりのお年まで彫り駒を独自の書体で作っていた。この「駒関連資料館」にも、「28 金光黒柿彫り駒(▼別項参照)」も同じく金光作であり、「14 書体不詳島黄楊板目彫り駒・金米作(▼別項参照)」は金光一門とされる金米の作だ。また、「作品ライブラリー」に掲載した「金光古印体中国黄楊虎斑彫り駒・酔棋作(第412作)」(▼別項参照)は、やはり金光が残した資料から私(酔棋)が新たに作ったものだ。
この駒の所蔵者の方は、この系統の駒や隷書体や篆書体の駒が好きでかなり収集している。今回のこの書体も、「急がないから制作してほしい」と言われているので、いずれ新たに作って「作品ライブラリー」に掲載することになるだろう。