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安清書島黄楊板目彫り埋め駒・一乕作
(樋村和己氏所蔵)

上写真の駒を見るとおわかりのように、現状ではかなり傷んでいる状態だ。彫り埋めの漆が、駒字のところどころ経年劣化による剥離が見られる。このような場合、彫り埋めを直すと駒字がどうしても細くなってしまう。つまり、駒そのものを削らなければならないからだ。

 書体は古くから伝わる「安清」である。この書体はもともとは、江戸期後半から駒を作っていたと思われる「安清」という駒師名(当時は駒師とはいわない思われるので、駒を代々にわたって作った人々)が残した駒の書体が源流となっている。この「資料館」でも他に、「3.安清(信華作)」(▼別項参照)、「16.安清(象牙書き駒)」(▼別項参照)などもある。
 作者として明記されてる一乕(かずとら/いっこ)は、大阪から関西一円に広まった駒師である。なぜなのかは判然としないが、一乕はこの「安清」と「錦旗」しか作らなかったといわれている。のちに、一乕作の駒の影の作者は大竹竹風(初代治五郎)であることが、昭和50年代の『将棋世界』に掲載された。大竹竹風に関して、詳細は「22.水無瀬兼俊(大竹竹風作)」(▼別項参照)に譲る。
 これまで私(酔棋)が拝見したかぎりでは、彫り駒の「一乕作」は見たことがなく、ほとんどが彫り埋め駒であった。先に紹介したように、関西はもちろんのこと、かなり巷間に流布していたと思われるのが、このような「一乕作」の駒だったのだろう。

 

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駒の詩