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酔棋流書き駒4―書き駒の盛り上げと完成

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書き駒の盛り上げ作業

 最後の盛り上げ作業としては、下地の駒字が彫り埋めでなくて漆のアタリという点を除いて、通常の盛り上げと何ら変わらない。であるから、ここでの解説は「酔棋流駒の作り方6」(▼別項参照)と同じところもあるし、補足ともいえる。
 盛り上げた駒の乾燥などは、先の「作り方6」を参考にしていただきたい。また、最後の仕上げの磨きについてはここであえてふれていないが、通常の仕上げとまったく同じである。完全に乾燥した(完成したから1週間くらい放置)書き駒を、プラスチッククロスで仕上げ磨きし、椿油を一度はしっかりつけすぐにティッッシュや布でふき取る。その後は、使用したら布でカラぶきしかしない。

完成した「篁輝」の「玉将と歩兵」
薄い虎斑に、「篁輝」の駒字が収まった。ちなみにこの「篁輝」は通常流布した駒字だが、表が隷書・裏が篆書「篁輝書欅柾目書き駒(第362作)」(▼別項参照)という別バージョンもある。

1.絵漆を転写した駒木地

 盛り上げ用の目止めを施した駒木地に、「篁輝」の字母を転写した。盛り上げ駒でいうところの彫り埋めの工程が、終わった段階と同じである。

2.漆を和紙に出す

 盛り上げに使っている 国産の「呂色漆」を、三枚重ねの和紙(美濃紙など)に出す。国産の漆は中国産の「呂色漆」より5倍くらいの価格だ。

3.漆を漉す

  漆を盛り上げるときには、先ほどの和紙に出した漆をこのように搾って漉す。ゴミやダマを取るのが目的だ。

4.盛り上げの作業

 り上げ台に駒をクサビで留めて、見本を見ながら形状記憶筆(インターロン1026)で、書くというより漆を盛っていく感じだ。

5. 回して使う

  盛り上げ台の中央は丸くなっていて、下に手を入れ回すことができる。書きやすいように、駒を回転させることもある。

6.盛り上げたばかりの「歩兵」

  文字どおり漆黒の輝きだ。あとは盛り上げた面を下にして、ムロの乾燥台で1日くらいゆっくりと乾かす(シーズンによっては漆マットに水分を含ませたものを2日目に入れる)。


別カット
篁輝書中国楊薄虎斑書き駒・酔棋作(第351作)/齋藤耕一氏所蔵

 上記の工程を経て、やっと「篁輝」の書き駒が完成した。
 長いこと指して使った書き駒の場合、盛り上げ駒と比べてその強度が気にかかる方もいらっしゃると思う。これはあくまでも私(酔棋)の実践でのことしかいえないが、漆の摩耗や飛びなども、盛り上げ駒と遜色がないというのが、今のところの結論である。

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