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奥野錦旗島黄楊赤柾盛り上げ駒
第405作(飯島栄治氏
所蔵)


別カット

「玉将・歩」で盛り上げの感じがわかる。 平箱の裏書き。

 

「双玉」に「王将」を追加、この裏に亡父の命日を入れた。

彫り埋めの工程。
盛り上げ完成。

 「奥野錦旗」はこれまで数多くの彫り駒をはじめ比較的多く作ってきた書体だが、盛り上げ駒は「奥野錦旗島黄楊根杢盛り上げ駒(第310作)」(▼別項参照)以来だから、実に久しぶりである。
 交流のあるプロ棋士・飯島栄治七段に駒を作ったのは、これまでに同じ「作品ライブラリー」に掲載している「龍山安清島黄楊虎杢盛り上げ駒(第318作)」(▼別項参照)、「巻菱湖島黄楊根杢盛り上げ駒(第320作)」(▼別項参照)の2作がある。いずれも飯島七段は、研究会で実際に使っていただいているとのことだ。
 2016年3月に、鬼の棲みかと恐れられている「B級1組」に飯島七段は昇級。将棋界に詳しい人ならご存じのはずだが、最終局まで「B級2組」で4番手だったので、2人しか昇級できないため実際には難しいと考えられていた。ところが上につけていた2人が負け、最終局に勝った飯島七段が昇級したのである。ある意味では、奇跡の昇級ともいえよう。
 実は2016年1月に、飯島七段は不慮の事故により父親を亡くしている。棋士になってからも支え応援してくれていた父親が、陰ながらその「奇跡の昇級」を後押ししてくれたのではと、飯島七段は心に秘めていたのである。
 かなり前に、「B級1組」に飯島七段が昇級したら、お祝いとして駒を私(酔棋)が作って差し上げる約束をしていた。そこで新たな駒を作ることになり、選んだ書体が今回の「奥野錦旗」というわけだ。通常の「奥野錦旗」は双玉仕立てなのだが、さらに「王将」を追加(左上写真参照)した。実はその「王将」の裏に、先に登場した飯島七段の亡父のお名前と命日が入っているのである。
 飯島七段が駒の書体などを決めに拙宅にいらしたとき、かかわりのある私の将棋仲間で「B級1組昇級お祝い」の宴を近くの寿司屋で開いた。そのときに参加した植木氏が駒木地代を持つことになり、私が作りこの「奥野錦旗」が完成したのである。駒を収める平箱の裏(上写真参照)に、私が書が苦手なため「将棋駒研究会」会長・北田氏に書いてもらったものである。駒木地となった「島黄楊赤柾」は落ち着いた感じで、飯島七段のこれからの将棋の支えに少しでもなってくれれば、作った私としてもうれしいことだ。
 2016年10月開催する私の個展(▼別項参照)のときに、「飯島七段指導将棋」(10月15日)が終わり、その後の「オフ会」で飯島七段にこの「奥野錦旗」をお渡しするつもりでいる。当日のみ個展会場に展示するので、会場にいらしたみなさんにもご覧いただきたい。

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駒の詩