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宗歩好中国黄楊赤柾書き駒
第398作(石田克彦氏
所蔵)


別カット

双玉に、「王将」(中)を追加。
弁柄漆で駒字を転写。
書きの盛り上げ完成。

 2016年4月5日、6日の両日、東京都文京区「ホテル椿山荘東京」の桜が満開の中、第74期名人戦第1局(羽生善治名人VS佐藤天彦八段)が開催された。そのとき使われたのが「関東の名人駒」と称される奥野一香作の「宗歩好」(「名工の轍・奥野一香」▼別項参照)だ。その駒の由来などはその別項をご覧いただくとして、「名人戦」といえば「名人駒・宗歩好」をすぐに喚起させるくらい知られている。
 この「宗歩好」の依頼者は、先の名人戦を観戦し並べるのに使いたいとのことであった。そこで、依頼者が注文するときに駒木地や製法など悩んでいたのだが、予算や指し心地なども考慮して、この駒に使った「中国黄楊赤柾」をおすすめしたのである。後日、アマ強豪などが多数集まる研究会でこの駒をお披露目し、実際に対局に使用してもらいみなさんに好評だったと連絡をいただいた。作った者としては、これ以上の喜びはないだろう。
 左の写真をご覧いただいておわかりのように、本来「双玉」が基本の書体だが、余分な駒木地があったので「王将」をもう1枚追加して作ったのである。その「王将」には「漆書 宗歩好」を入れたことは、一番上の駒銘の写真を見ていただきたい。
 先の研究会でみなさんは、「双玉」ではなく「王将」をおもに使っていたと、依頼者から知らせていただいた。「王将」が上手(または年齢が上)を使うということは、長い対局で身につきなじんだ感覚なのだろう。とはいえ、ときには「双玉」での対局もなかなか乙なものなのだが……。
 同じ「作品ライブラリー・宗歩好(第394作)」(▼別項参照)のところでもふれたが、2015年から2016年にかけて、すべての製法(書き駒・彫り駒・彫り埋め駒・盛り上げ駒)で「宗歩好」を作った。今回の「書き駒」から始まって、そのような循環がまた起こるとは思えないが、同書体が続いたりすることは私としては何ともいえない縁も感じさせるものにちがいない。

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駒の詩