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鵞堂書島黄楊柾目書き駒
第342作(伊藤明日香氏所蔵)


別カット

漆の盛り上げぐあいがわかる。 左の裏にはお名前を入れた。 余り歩を根付にした。

駒贈呈記念将棋会

駒の飾りケースの前で、「鵞堂」を手に持つ伊藤明日香初段。

 この「鵞堂」の所蔵者になったのは、伊藤明日香女流初段だ(左写真)。伊藤初段は、囲碁将棋チャンネルの『お好み将棋道場』や『ニコニコ動画』の記録係を務めたりと、将棋を陰で支える裏方で活躍している。
 すぐ上の写真見ておわかりのように、「王将」と「玉将」には伊藤初段のお名前を彫り埋めで入れてある。「明日香」は文字どおりお名前で、こちらの「飛鳥」は、男の子が生まれたときはこの名前にする予定だったと、ご本人からうかがった。伊藤初段のお父さんは、伊藤果七段で師匠でもある。
 つい最近、私(酔棋)の棋友であり、駒友でもある三上勉さんが、先の『お好み将棋道場』(下記参照)に対局者として出演し、その応援に私も駆けつけた。対局収録(2012年9月20日)終了後、難戦を制した三上さんが一席をもうけるということで、収録の関係者で懇親会が行われた。
 参加者は、対戦した飯島栄治七段、解説の中座真七段をはじめみなさん三上さんと何らかの交流のある方々が多かったので、楽しいひと時の飲み会であった。両棋士とも、私の駒を研究会などで使っていただいているほどの駒好きでもあったので、自作の駒を持参しその場でみなさんにも見ていただいた。
 その対局の聞き手を務めていた安食総子女流初段(「書体への誘い・王羲之」▼別項参照)と記録係を務めていた伊藤初段も、その懇親会に参加した。実際にお話ししたのはお二人とも、私は初めてであった。伊藤初段はフェイスブックやツイッターなどもされているとのお話をうかがい、そのときちょうど「第10回駒プレゼント」(▼別項参照)を開催中だったので、「ツイッターで、駒プレゼント企画を広めてください」とお願いした。快く応じて実行していただいたのか、いつものプレゼント企画よりも、女性の応募がかなり多かった。
 しばし、将棋や駒談議に花が咲いた宴もたけなわ、三上さん(会社の指導将棋で安食初段にお世話になっているから)が「増山さん! 安食さんに駒を作ってあげれば」と調子に乗り、いつもの軽口をたたいた。結局、何となくなりゆきで私も、「それじゃあ、書き駒なら安食さんに作ってあげるよ」となり、つい同意してしまったのである。駒に関して伊藤さんをそっちのけにしてはかわいそうなのではと思い、伊藤さんにも同様に書き駒を作ることを私はお約束した。お二人に差し上げる2組の駒が完成したら、せっかくだからお披露目の将棋会をやろうということになり、「駒贈呈記念将棋会」(2012年11月27日)を拙宅で開催したのである。
 その「将棋会」に参加したのは、女流棋士のお2人と、増山(酔棋)、三上の腐れ縁友だち、それに「将棋駒研究会」の仲間であり、駒収集家でもある松枝正義、稲垣忠之の両氏で、計6名である。将棋会が終わり、近くの中華料理店で引き続き懇親会となった。
 なお、伊藤初段と私の「魂入れ」(新しい駒に将棋を教える)をかねた対局は、下記の「棋譜ページ」で実際に見てもらおう。
 上記の三上さんに関しては「あの駒は今・5.誌上対局での勝利の陰に」(▼別項参照)、飯島七段に関しては「作品ライブラリー・龍山安清(第318作・▼別項参照)、巻菱湖(第320作・▼別項参照)」、中座七段に関しては、「あの駒は今・3.北海の潮風を浴びた駒は甦った」(▼別項参照)を、それぞれご覧いただきたい。
 伊藤初段が数ある書体の中で、「鵞堂」を選んだのにはちょっとわけがあるという。私が編集した多くの棋書の中で、すでに絶版(1990年発刊)となっている『凌ぎの手筋186』(金子タカシ著)という本の装丁に私の作の「鵞堂」を使っていて、それを伊藤初段がちいさいころに読んで、その駒が記憶に残っていたとからだというものだ。今回その「鵞堂」が伊藤初段の所蔵となったことには、何となく不思議な縁でもあり、つくづく私も年をとったことを感じさせた。ちなみに「鵞堂」の由来などは、「書体への誘い・鵞堂」(▼別項参照)をご覧いただきたい。もっともこのときの「鵞堂」は、現在のものとは字母紙(かつては静山作が源流で、現在は影水作が源流)が異なっていることをお断りしておく。

新しい「鵞堂」での記念対局。 空中戦の中盤の難所。 ▲盤面拡大 記録係を務めたのは安食初段(右)。
稲垣VS松枝戦。観戦は三上さん。 記念対局終了後、参加した6人でパチリ。 中華での懇親会で、乾杯!

贈呈した「鵞堂(第341作)」で対戦(2012年11月27日)
棋譜は▼棋譜ページへ
※棋譜ページを開いて、日付・番号順になっていますので、
「23.伊藤VS増山」戦を選択してください。

●『お好み将棋道場』より(テレビの一場面)
三上 勉五段VS飯島栄治七段(角落ち)
解説・中座真七段/聞き手・安食総子女流初段
記録」・伊藤明日香女流初段/読み上げ・竹下貴重初段

『お好み将棋道場』(放送日・2012年11月24日)
棋譜は▼棋譜ページへ
※棋譜ページを開いて、日付・番号順になっていますので、
「21.三上VS飯島」戦を選択してください。

まずはタイトルから。 三上(左)VS飯島(右)戦。初手は上手▽6二銀。 伊藤初段は、仕事中でやや硬めの表情。

 三上さんは、最初のうちはかなり緊張していたようで、表情も硬かった。かつて私もこの『お好み将棋道場』に出場(「あの駒は今・8.小林宏六段に山の仲間から贈られた駒」▼別項参照したことがあるので、そのあたりのことはよくわかる。しかし、三上さんは対局前の駒談議で緊張もかなりほどけ、対局に臨まれたようである。どちらにしても、対局者の飯島七段をはじめ解説者、聞き手もよく知っている方々ばかりなので、三上さんにとってはこの上ない対局環境であろう。
 だから平常心で臨むことができたのか、実戦は序盤・中盤と下手ペースで展開していく。終盤にさしかかるとき、かなり上手に追い込まれ難しい局面もあったが、上手玉を逃がさない絶妙な桂打ちがあり、からくも三上さんの勝利となった。このあたりは、「棋譜ページ」で実際にご覧いただこう。

対局が始まる前に、駒談議で盛り上がる。 名人戦で使われた三上さん所蔵の駒。 飯島七段の昇級祝いの日付入り。
中座七段は、「中座飛車とお名前」入り。 私が出場したときの場面も紹介。 今回の視聴者プレゼントに使った拙著。

 対局前に出場するみなさんで、駒談議に花が咲くというのもかなり珍しい。三上さんが持参した、名人戦で使われた宮松作の「巻菱湖」(「名工の轍・宮松影水」▼別項参照)も紹介された。また、三上さんだけでなく、飯島七段も解説の中座七段も、それぞれ酔棋作の自分の駒を画面で紹介していただいた。これには思わず苦笑してしまったが、ありがたいことには変わりはないので、感謝! 感謝! だからというわけでもないが、今回私からも、拙著『将棋駒の世界』とDVD『駒を作る』を視聴者プレゼントとして出さしていただいた。

長い序盤の駒組みを経て、ついに開戦。 飯島七段投了の局面。 ▲盤面拡大 感想戦も和気あいあい!

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