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毅志好島黄楊柾目書き駒
番外作/5五将棋・酔棋作
(伊藤毅志氏所蔵)


「5五将棋」の駒を並べた盤面。「桂」と「香」はない。 漆の感じがわかる「玉将」と「歩兵」。太いところは迫力がある。

ハンカチサイズの携帯の布盤。これならどこへでも持参可。


▲画像クリックで拡大

 今回紹介する駒は、通常とは同じものであって同じものではない(?)、ある意味では特殊な駒(「桂」と「香」はなし、「歩」は各1枚)だ。かなりまどろっこしい言い方をしたが、「5五将棋」という本来の将棋から派生した盤上ゲームのための駒なのである。
 この「5五将棋」については、左に掲載した「5五将棋の遊び方」(画像クリックで拡大)でルールなどの詳細はご覧いただきたい。このゲームは、ある方が1970年ころに開発し広めようとしたことを、後で私は知ったくらいだ。
 所蔵者となった伊藤毅志さんが、2011年9月の「将棋駒研究会」の例会に訪れて、「5五将棋」そのものを私(酔棋)は初めて見聞きした。伊藤さんは電気通信大学の助教で、ゲームを題材にした研究を専門にし、学生たちにこの「5五将棋」のプログラミングを研究素材として活用している、とのこと。そのうちに素材とするだけでなく、だんだんと上記写真の盤(プラスチック製)や布盤も作り、本格的になっていった。今度は専用の駒が欲しくなり、「将棋駒研究会」に参加したというわけである。
 そのようなお話を伊藤さんから私はうかがって、「それなら協力しましょう」ということで、試しに書き駒を1組作って差し上げることにしたのである。それが、まさに本作なので、通常の制作番号は入れなかった。「どうせ作るなら、伊藤さんのお好みの書体で作ったほうがいいのでは?」と私が提案し、数ある書体の中から伊藤さんが選んだのが「羽前」(▼別項参照)の書体であった。
 「羽前」の書体の、たとえば「玉将」の「将」の字を省き「一文字書体」として完成させたのが、この「毅志好」ということになる。ただし、「羽前」では「銀将」の裏の「成銀」が、「金将」の「金」とまったく同じであったので、それでは区別がつかないため、「成銀」の裏字は「水無瀬」の「成銀」で代用したものである。結局、伊藤さんが選んだところから、この書体を「毅志好」と命名したわけだ。
 この駒が完成したとき伊藤さんと初対局したのが、下の写真である。初めての「5五将棋」は、もちろんのこと伊藤さんの勝利に終わった。指してみた私の感想としては、かなり通常の将棋に似通っていて、初心者にとって「本将棋への誘い」にもなるのではないか、という印象を抱いた。
 どちらにしても、このようなチャレンジが将棋や駒の普及にもとってもいい方法だと思われるので、陰ながら私も応援していきたいと思っている。なお、「5五将棋」に興味がある方は、下記に紹介したサイトをご覧いただきたい。
 今回の駒を契機に、伊藤さんは「書き駒を覚えたい」ということで、私も協力し少しずつ書き駒作りを始めている。いずれは、ご自分の作った駒で、「5五将棋」を指せる日はそんなに遠くはないだろう。

「5五将棋」ポータルサイト

▼ここからお入りください


伊藤毅志さん(左)と私(右)の「5五将棋」の初対局。

 

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駒の詩