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清龍島黄楊柾目彫り駒
第323作(中原寛人所蔵)


別カット

「歩兵」で比べると、左が通常の形、右が縦長の駒形。
『将棋駒の世界』(114ページ)に掲載した奥野作の「清龍」。
  この「清龍」は、左に掲載した奥野作(「書体への誘い・奥野一香」▼別項参照)と思われる「清龍」(駒銘がなし)の実物の駒に、魅入られて作ったようなものだ。ただし、字母紙として起こしたのは、別の奥野作の「清龍盛り上げ駒」が、ベースとなっている。
 拙著『将棋駒の世界』(▼別項参照)にも、その彫り駒を載せているので参考にしてほしい。その駒はかなり小ぶりで、漆も木地呂か朱合を使った雰囲気で、けっして上手な彫りではないが、何ともいえない味わいを醸し出していた。
 また、この書体を作ろうと思ったのは、手元に奥野形(または木村形)の島黄楊柾目の駒木地があったからでもある。右の「歩兵」の写真をご覧いただきたい。駒形の角度が鈍角(末広がりではなく)で、縦長が特徴である。また、実物の奥野作「清龍」も小ぶりで薄めであったが、私が作ったこの「清龍」も同じような駒形だった。つまり、この駒形があたからこそ、「清龍」を作ったともいえよう。
 私が使った漆は、朱合と呂色のブレンドであったが、どいういわけか漆の乾きがあまりよくなくて、完成したら若干のにじみが生じてしまった。何年携わっても、このような駒作りの難しさと奥深さを、駒そのものが私に教えてくれたものだろうか? 指して使うのには問題がないと思われるので、もしもご縁があってこの駒を手にした方は、ビシバシと使って育てていただきたい。

 

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駒の詩