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錦旗薩摩黄楊孔雀杢盛り上げ駒
第281作(阿部 淳氏所蔵)


 「王将・玉将」の裏は、孔雀杢の命名どおり孔雀が羽を広げる形だ。

駒を並べているところ。この駒を所蔵する依頼者(右)と、制作者こと私(左)の二人の対局が始まる。 序盤の駒組みの盤面。依頼者の陣形は、やや懐かしい形だ。

 別項「書体への誘い・錦旗」で述べた「錦旗で始まり錦旗で終わる」の言葉どおり、比較的多く依頼される書体の一つが、この「錦旗」である。読みやすい楷書で太字なところが、駒の初心者から駒マニアにまで、広く支持されているところかもしれない。
 「孔雀杢」とは、同じ薩摩黄楊の高級材でも、別項「作品ライブラリー・源兵清安(第275作)」の「稲妻杢」とは、木取りが上下逆となる。微妙な木味の違いで、使い手のお好みといえるだろう。それぞれ完成した駒を見比べて、その違いを味わっていただきたい。
 この駒の依頼者であり所蔵者は、別項「あの駒は今・1.新宿ゴールデン街に駒音がする」で紹介している酒場「一歩」のお客さんでもある。そこで、駒が完成したときに行う恒例の「魂入れ」の儀式(?)は、ママ(吉田純子さん)立ち会いの下「一歩」で行うこととなった。
 やや暗い店内に明かりを照らし、出来上がったばかりの駒に、将棋を教えるように所蔵者と制作者の二人が駒を並べていく。上左写真の序盤から発展し、所蔵者(先手)・向かい飛車VS制作者(後手)・居飛車左美濃という戦型に落ち着く。先手の攻めを、何とかかわして後手が寄せに出るが、決め手を逃し泥仕合に発展。やがて、先手が入玉模様となり、後手玉も寄りのない形で、双方痛み分けで引き分けとする。
 決着のつかなかったこの魂入れの対局を、おそらくこの新しい「錦旗」も、ホッとしていたことだろう。

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駒の詩